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遊の告白★1

僕には、家族が いない。 いや・・・正確には 産んでくれた母親 養ってくれる父親 1つ下の弟 血の繋がりのある・・・世間一般では「家族」と呼べる人たちと 同じ家で、一緒に暮らしては いた・・・ けれど 両親にとって“僕”は・・・・ いらない人間だった。 母は 弟だけを溺愛して 弟は 両親に愛されて・・・ 父は仕事が忙しくてあまり家にいなかった けど・・・ それでも3人は 家族で 僕だけが 異質な存在だった。 母に愛された記憶はない。 何が原因だったのか… 何か きっかけがあったのか… それすらも分からない。 分からないから どうする事も出来なかった。 物心ついた頃から、 自分に対する両親の態度に 違和感みたいなものを感じてはいたけれど 小さかった僕は、 なんとか母に優しくしてもらいたくて、 色々な事を頑張った。 勉強はもちろん、スポーツ、習い事 家の手伝い、弟の世話。 出来ることは何でも必死で やった でも、 空手の大会で優勝しても、 習字で賞をとっても、 ピアノが上手に弾けても 母が 僕を 誉めてくれる事は・・・ 1度もなかった。

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