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遊の告白★6

『涼・・・・ごめん・・僕・・・・』 胸が痛い。 何を見てたんだろう、僕は。 何で気づけなかったんだろう、僕は。 兄弟なのに・・・・・。 思わず、涼の体を抱きしめる。 すると、涼は 涙を ごしごし乱暴に拭って 『ご、ごめん・・・・、違うんだ。 兄さんを悲しませたいんじゃないんだ』 しっかり僕の目を見据えて、言った。 『兄さんが ずっとずっと つらい思いをしてたのは知ってた・・・。 ・・・僕だけ 異常なくらい 母さんから愛情を注がれてるっていうのも分かってた・・・ でも、僕には 母さんに何も言えなかった・・・ 何も出来なかった・・・・・ ・・・・兄さんが 何もかも諦めてしまった時・・・ すごく・・・すごくつらかった・・・』 『涼・・・・・・』 『ごめん、どうしようもなくて、 分かってるのに・・・何も出来なくて・・・』 また、涼の目からポロポロと涙がこぼれる。 『・・・・だから兄さん、この家を出たら』 涙を拭う事なく、僕を見つめる目は、強い光を放っていて 『幸せになって・・・』 『・・・・・・・・!』 『幸せに・・・なって』 『りょ・・・・・ぅ、・・うぅっ・・・』 今度は、僕の方が 両手で顔を覆って泣き出してしまった。 すると、涼が・・・さっき僕が涼にしたように、抱きしめてくれた。 抱き合って、しばらくの間 2人で泣いた。 泣いて すっきりしたのか、涼は・・・ 『大学卒業までは母さんの言う通りにする。 働きだしたら、好きな所にいくよ。 海外、とかね。 だから、どこにでも行けるように・・・・・ 今は 勉強を頑張る』 そう言って、笑った。 『ありがとう、涼。幸せになる・・・絶対』 『約束だよ。僕も頑張る』 『・・・・うん』 最後の夜に 僕は、たった1人の 大切な弟と 朝まで一緒に ただ、一緒にいて この家で初めて幸せな時間を過ごした・・・・

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