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遊の告白★10

『・・・・いいのよ、遊くん。 謝らなくても いいの』 そう、優しく言って 遊の頭を撫でる。 『あなたたち2人を ちゃんと見てたら、 お互いがお互いを、どんな風に想いあって いるか、どんなに大事にしているか・・・ 親なら分かるものよ?』 『・・・・おばさん・・・』 『謝らなくて いいの。 自分を悪く 言わなくて いいの。 私たちは、あなたと晃が幸せなら・・・ それでいいの』 『そうだよ。 それに、遊くんはもう うちの家族だ。 晃の大事な人なんだから』 『・・・お、おじさん・・・・』 また、ポロポロ涙を流す遊。 その涙は、先ほどまでとは違って 痛々しいほどの悲しみは和らいで、 少しだけ 穏やかな涙に変わった。 俺は、今度こそ 遊を 抱きしめる。 拒否されず、受け入れられて・・・ ホッとした。 『晃、あんたは遊くんを幸せにする事』 母の言葉に、 『当然』 と、返す。 ――と、 いい雰囲気だったのは、ここまで。 母が、鼻の穴を膨らませ、俺を指差し、 ビシッと言い放った。 『大体、あんたが先に好きになったんじゃないの?遊くんに謝らせちゃダメじゃない!』 『う・・!ご、ごもっとも・・・です』 『そうだぞ!今度、遊くんを泣かせたら、 お父さんは許さないぞ!』 『・・・・は、はい・・・!』 『晃・・・あんた、向こうでも遊くんに迷惑かけてないでしょうね?しっかりしなさいよ?』 『・・・はい・・っ・・・』 『そうだぞ、お前がしっかりするんだぞ?』 『・・はいぃ・・・!』 『大体、あんたはねぇ! 昔っから考えもなしに思いつきで行動する バカ!なんだから、しっかりしなさいよ?』 『・・・うぅ・・・は・・い・・・ぃぃ・・』 『そうだ!バカなんだから!』 『・・・・うぅ・・っ・・・』 バカ、バカって・・・・ 何回 言うんだよぉ・・・・ ・・・泣きそう・・・ ふと、抱きしめている遊の体が・・・ 震え出した。 ん? え? まさか、また泣いてる?! 俺があまりにも情けないから?? どうしよう・・・ き、嫌われた・・・!? ドキドキしなごら 顔を覗くと、遊は 目と口を ぎゅっと閉じて何かを耐えていた。 『ゆ、ゆー?』 『・・・ご、ごめ・・っ・・なさい・・・っ・・・』 え? 何で? なんで謝るの────?? 焦ってオロオロしていたら、 遊の震えは ますます激しくなり・・・ 自分で自分の体を抱きしめ 縮こまる。 『え、・・ゆ、ゆー?大丈夫・・???』 『ん・・・んん・・・っ・・・ごめ・・・』 とうとう耐えきれなくなったように 『ぷっ・・!』 噴き出すと 声も出さずに、 笑いだした。

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