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家族団らん☆1

あの日から実家に2泊して、 すっかり俺の家族に馴染んだ遊。 何度か遊びに来てたとはいえ 初めて味わう家族団欒に はしゃぐ遊を見て、 両親は複雑な顔をしていたけど。 遊と父と湊を買い物に行ってこい、と わざとらしく追い出してから、 母が話してくれた。 遊の家族関係は、何となく母の耳にも 入っていたらしい。 『この手の話は隠していても、どこからか噂になって入ってくるものなのよねぇ・・・』 だから、時々 ウチに遊びに来る遊を見て、 話して、知っていく内に “ なんでこんなにいい子が・・” って、気になって、心配していたらしい。 そこへ、 「遊と つきあってる!」 なんて 俺が言ったものだから・・・・ すごく嬉しかったんだそうだ。 はじめは、父さんは反対しようと 思っていたらしい。 そりゃそうだろう・・・ 息子が男を好きになる、なんて 受け入れがたい事だろうから。 でも、遊への想いを告白した時 俺が本気だって 俺の覚悟を知って 許してもいいか、って 思ってくれたんだそうだ。 『ここまで理解ある いい親って なかなか いないわよ~。感謝しなさいよね~』 母は ニヤニヤ笑う。 『自分で言うなよ・・・』 『ま、頑張りなさい!』 『・・・・うん、ありがと。』 ホント・・・いい親だよ。 感謝しなくちゃ。 遊も・・・・ ここが もう1つの帰る場所に なると いいな・・・・ 感慨に耽っていると、 『ただいま~』 『暑いー!』 『か、帰りました・・・!』 賑やかに 3人が帰って来た。 遊は、リビングのソファーに座っている俺を見て嬉しそうに駆けてくる。 『ね!晃くん!見て見て!スイカ!』 大きなスイカを抱えて はしゃぐ。 『わ、すごい!大きいなー!重くない?』 『え?全然 大丈夫!!』 遊は片手でスイカを軽々 持ち上げて見せる。 え・・・これってビーチボールじゃないよな・・? 『遊くん、こっち手伝って~』 『はーい!晃くん、これ・・・』 母に呼ばれた遊が 俺にスイカを手渡す。 軽いスイカだと思い込んでいた俺は適当に受け取って・・・ 『うっ!!うが・・・っ!』 お、重・・・っっ!!! あまりの重さに 落としそうになって 慌てて膝で支えた。 『・・・・・・・っ・・・・』 これを片手で・・・・ 遊、恐るべし。

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