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家族団らん☆2

家族団らんも 今日が、最後の夜。 母が、家族みんなで楽しめるように、と 夕食は手巻き寿司を自分で作って食べて。 食後のデザートに 丸いスイカを切り分けて食べて。 今は、庭で 花火。 遊は、花火を両手に持って子供みたいに はしゃいでいる。 こんな遊を見るのは初めて・・・ 連れてきて よかった・・・・ 『兄ちゃん』 縁側に座って遊を眺めていたら、湊がこっちにやって来た。 『おー、どうした?』 『花火、しないの?』 『遊を見てる方が楽しい』 『孫と遊ぶ じいさんかよ』 『・・・お前、今 世の中のじいさんを 敵に まわしたぞー』 『ははは』 湊も、遊をじっと見て・・・ポツリと呟いた。 『あのね・・・・この前、遊くんの弟の 涼さんに会って…ちょっと話した』 『・・・・・・え?』 『同じ高校なんだ。あっちは3年だけど』 『・・・そう・・・なんだ』 『うん』 『・・・・・で?』 『伝言を言付かった。 兄さんをよろしく、って。』 『・・・・・ふーん』 『涼さんは知ってんの? 遊くんと兄ちゃんの事・・・・』 『あー、どうだろう・・・・知らないと思うけど』 『そっか・・・遊くんのこと、すごく気にしてたんだ。元気かな、ご飯食べてるかな、とか』 『うん・・・・』 『お母さんに スマホ管理されてるから 連絡取れないんだって』 『は?マジで・・・?』 『うん。だから、時々 兄ちゃんから俺に 連絡いれてよ。涼さんに直接 伝えるからさ』 『あぁ・・・うん、分かった』 遊・・・・・ 遊のこと、心配して 大切に思ってる人は 俺たちだけじゃないんだ・・・ 遊が唯一 家族と呼べる人・・・ いつか・・・2人で自由に会えるようになると いいな。 『ところでさ~、湊』 『なに?兄ちゃん』 『お前さ・・・いつから一人称 "オレ" に なったの?』 『・・・・・・っ////!?』 ずっと湊と話してて感じた違和感。 さっき気づいた。 『な、なんで・・・・///っ! なんで、そんな くだらない事は、すぐ気がつくんだよ!バカ兄貴っっ!』 『なぁー、いつからぁ?』 湊は、ガバッと立ち上がると、 『高校に入ってからだよ!』 逃げるかと思いきや 律儀に教えてくれる。 『あぁ~そうなんだ~』 ――かわいいヤツ。 『かわいくないっ!』 あれ・・・・? 声に出てましたかね? 『もう !! なんで こんなバカ兄貴が好きなんだろ!』 『えぇー?お前 俺が好きなのぉ??キモい~』 『俺じゃなくて遊くんが、だよ!』 『僕が、なに?』 『あ』 『あ』 振り向くと 遊が 線香花火を両手に、傍まで来ていた。

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