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ある男の告白☆1
夏休みは終わり、すっかり通常モード。
3時限目の講義が休校になり、遊と2人、
校内の図書室へ向かっていた時のこと。
前から、やたらとガタイのいい男が歩いて来た。その男は 俺たちに気づくと なぜか数メートル手前で、ピタリと止まり、ジーっと こっちにガンを飛ばしてくる。
『え、・・・誰?』
『さあ・・・・・?』
どちらの知り合いでも ないようだ。
だけど・・その男は、いきなりパァ~と顔を輝かせたかと思ったら ズンズン ものすごい勢いで俺たちに向かってきた。
『わ・・・!こっち来た・・!』
『うん・・・なんだろ・・・・?』
周りを見ても 俺たちしかいない。
ってコトは・・・俺か、遊の・・
『あんたっ!篠宮 遊?だよね?』
『・・・え?』
『・・・え?』
・・・知り合い?なの?
『あの・・・どちら様・・・ですか?』
――って、
当の遊は、誰だか分からないみたい。
すると、その男は「あちゃー」とか言って
おでこに手をあてて、大げさに残念がる。
『・・・あのぉ・・?』
『あ、悪い、悪い。やっぱ、覚えてないか。俺、篠宮 高志ってんだけど』
と、勝手に自己紹介をして、また探るように
遊をジーっと見る。
ってか、「篠宮」って!
同じ苗字?
すっげー、遠い親戚・・・とか?
『篠宮・・・高志・・さん・・・・・?
えーと、ごめんなさい。誰・・ですか?』
遊は、名前を聞いても、
やっぱり分からないみたいだ。
て事は 親戚でもない・・・
じゃ、誰?
って思っていたら・・・
『あんたさ、空手やってただろ?』
男が 確信に触れてきた。
『え?・・・空手・・・?』
『よく大会で一緒になったの覚えてない?』
『空手・・・・・・篠宮・・・・・・・?
・・・・・・・・・。
─────あ』
『思い出した?』
『あ・・・・はぁ、まぁ・・・はい』
『よかったー!』
と、遊の手を握る男。
・・・・むむ。
ちょっとだけ、ムカつく。
すると、そいつは手を握ったまま
もっとムカつく事を言ってのけた!
『あんた、また俺と一緒に空手しない?』
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