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ある男の告白☆3
**** 遊 side ****
4時限目を終えて、晃くんと
食堂に行ったら
入り口に、篠宮が立っていた。
「空手、やろうぜ!」
と、断ったにも関わらず何度も誘ってくる。
その場は なんとか ごまかして逃げたんだけど・・・・。
それからは
休み時間の教室、
トイレ、
廊下、
帰り道
嫌になるくらい
僕をつけ回して、声をかけてきた。
『しつこいっ・・・!』
とにかく、ずっと無視していたら
帰りの電車にまで乗り込んでくる篠宮。
さすがに、このままではマズい。
とりあえず、話だけはしてみよう。
『どこまで ついて来る気?』
『yes!と言うまで、どこまでもだ!』
『・・・・言わないから』
『まぁ、そう言わず!』
『しつっこいっ!言わないから!』
晃くんは、すごく心配していたけど
今日はどうしてもバイトを休めないらしくて
今は僕ひとり。
マズい・・・・。
このまま ついて来られたら・・・
家がバレてしまう!
それだけは絶対にイヤだ!
考えた末、自宅のある駅を3つ通過して、
電車を降りた。
当然、篠宮も降りてくる。
埒があかない・・・、
話をするしかないか・・・と、
とりあえず目に入った喫茶店に飛び込んだ。
『どうやったら諦めてくれるの?』
長く話す気はない。
本題をズバリと切り出す。
『たから、yes!って・・・』
『それは もういいから』
『一緒にやりたいんだ!』
『やらない。もう忘れたし』
『大丈夫!すぐ思い出すって!』
『・・・・思い出したくない』
『・・・ど、どうしても?』
『どうしても』
『そうか・・・・』
黙りこんで、うつむく篠宮。
・・・・諦めたかな?
大きな体をした男が、しゅん・・と肩を落として項垂れている・・・・なかなかシュールだなぁ。
アイスコーヒーを、飲みながらそんな事を思っていると。
『あの・・名前だけでも・・・ダメ?』
『───!』
まだ言うか・・・・!
『どうせ やらないのに意味ないでしょ』
『名前 貸してくれたら諦めるから!』
『一緒にやりたい、って言ってる癖に
名前だけ借りて どうするの?
そのうち名前あるんだから顔だせ、とか
言うつもりじゃないの?』
『う・・・っ!な、何でそれを・・・!』
『・・・・・・・・・』
どうやら、図星だったみたい。
分かりやすい姑息な手を使うなぁ。
もう1度、ハッキリキッパリ言わなきゃ!
『とにかく、絶対にやらないから。
もう話しかけて来ないで下さい!!』
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