140 / 761

合コンと告白の行方★10

*** 晃・side *** はっ・・と、慌てて 手を離す。 あぶな・・・! そうだった! ここ、まだ店の中だった・・・っ! 『お前・・・・・大丈夫か?』 と、声をかけられ、熱を吐き出すように・・・ 気持ちを落ち着けるように何度も深呼吸を繰り返す。 うぅ・・、苦しい・・・けど もうちょっと我慢・・しなくちゃ・・・ 『・・・だ、大丈夫』 『1人で歩けるか?』 『・・・うん』 『篠宮は俺が運ぶから・・荷物 持って』 『うん。・・・ありがと・・』 コイツ・・・ えーと・・・ 名前、なんだっけ? 『お前なぁ!沼田だよっ!失礼なヤツだな』 あれ・・?声に出てた? そうか・・・そうだ・・沼田だった 『あ~あ、助けるんじゃなかったな・・・』 『・・・・・助ける?』 沼田は遊を背中におぶって、歩き出す。 すごく嫌だけど非常事態だから仕方ない。 それに着いて行きながら、高橋真美の驚くべき話を聞いた。 彼女は、いわゆる男好きで、 「いいな」と思った男に片っ端から声をかけ、 あらゆる手段を使って手にいれようとする肉食系女子。 今回の合コンも、「俺を呼べ」 と言い出したのは彼女だったらしい。 沼田は、俺も男だし2人が合意の上で、関係を持つのはアリかな?とか思ってたみたいで、誘ったんだそう。 でも、俺の様子が急におかしくなったのと、 倒れた遊を見て、気になって見に来てくれたらしい。 『お前・・・なんか盛られたっぽい?』 『かも・・・。よく分かんない・・・』 『お気の毒。お前・・・その感じじゃ今日 寝られないんじゃね?かわいそうに~!』 笑いながら、バシバシ叩かれる。 『お前な・・・・』 『まあまあ。ひたすらヌけ!』 『はいはい』 沼田は キメ顔で親指を立てると、遊をタクシーに乗せてくれた。 続いて、俺も乗り込む。 『気をつけてな。 アイツは俺がビシッと説教しとくから』 外を見れば、項垂れて看板の陰に半ば隠れて立つ真美がいた。 『とりあえず、ガマンすんなよ。 出せば楽になるからさ!』 『・・・・うん』 やけに 詳しいな・・沼田。 『今回は無理に誘ったのにこんな事になって・・・・俺も悪かった、今度おごるよ』 しかも、いつ買ったのか、ペットボトルの水まで渡してくれた。 沼田・・・グッジョブ!いいヤツ! 俺の方がおごりたい気分。 ドアが閉まり、車が動き出す。 ひらひらと手を振る沼田に、俺も手を振って・・・・もう、真美の方は見ずに、見たらいけない気がして、前を向いた。 合コンなんて・・・もう、こりごりだ・・・・。 もう絶対 行かない! お酒も飲まない! そう、固く誓う俺だった。

ともだちにシェアしよう!