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悪魔と天使の誕生日☆7
『あ!薫さんかな!?』
パッと遊が立ち上がった。
遊・・・・・なんで そんな嬉しそうなの・・・
キス・・・・!キスは・・・!?
遊は いそいそと
俺は いやいや、玄関に向かう。
2人でドアを開ける、と・・・・
『どうも!こんばんはっす~ ♪ 』
『あれ?』
『・・・・え?・・・・村田さん?』
・・あれ?
あれ??
店長は?
・・・・・ちょっと待って??
まさか・・・!もしかして・・・!
来れなくなった、とか?とか?
よっしゃ・・・・
『よぉ、邪魔すんぞー』
歓喜の雄叫びを あげようとした、まさにそのタイミングで 村田さんの後ろから店長が現れた。
『晃、ジャマ』
『・・・・・・・』
勝手知ったる・・・って様子で 俺を(俺だけを)
押し退けて、ズカズカ上がっていく。
あぁ・・・やっぱり・・・
店長が来ないなんて
そんな奇跡が起こるはずなかった・・・
『薫さん!いらっしゃい!』
『おー、遊。おめっとさん』
『ありがとー』
まぁ、遊が嬉しそうにしてるから・・・いっか。
『志田くん、これ どうぞっす』
と、大きな紙袋を渡される。
中を見ると、タッパーが何個か入っている。
『人数 増えたから、足りないと困るかなーと思って、作って来たっす!』
『えー、わあ!ありがとーございまーす』
早速、ダイニングへ行って、お皿に移してから運んだ。
唐揚げに、エビチリ、肉団子。
すっげー豪華になった。
『かんぱーい!』
『おめでとう!』
『おい、酒は?』
『ないでーす!』
俺たち未成年だからね!
ジュースで乾杯。
店長は不服そうだけど、知ったこっちゃない。
みんなでワイワイ 話しながら、食べて 騒いで、2人きりもいいけど誕生日だし、賑やかなのもいいなー、と思った。
お腹いっぱい食べて、テーブルの上を片付ける。コーヒーでも淹れようと、遊とカップを出していたら、店長が俺の方に歩いて来た。
『ケーキ、冷蔵庫に入れてある』
『はい、ありがとうございます』
『コーヒー、2人分でいいぞ』
『え・・・・?』
見ると、店長は身支度を整えていて・・・
『え?帰るんですか?』
『・・泊まってもいいんなら泊まるぞ?』
『・・・・・お疲れっしたー』
ゴンッ!
『いっ、いたっ!もー、殴んなくても・・!』
『え?薫さん帰っちゃうの?』
ゆ、ゆー!?止めないでっ!
『おぅ。酒ないから つまらん』
村田さんも、店長の言葉が聞こえたみたいで こっちに歩いて来た。
『あ、じゃあ 俺も帰るっす!』
『えー?村田さんは もうちょっと いても・・』
ゴンッ!
『いっ!痛ぁぁーいっっ!』
『ふん、じゃあな。―――またな、遊』
『あ、ありがとう、薫さん』
『おー』
玄関まで行って、お見送り。
『村田さん、今日は ありがとうございました』
『あ、いえいえいえ!こっちこそ突然
オジャマしましたっす!
ありがとうございましたっす!』
『いえ!お料理ありがとうございました。
美味しかったです』
『いやいやいや!』
遊と村田さんがペコペコ頭を下げ合っているのを呆れた顔で見ていた店長が急に ニヤリと笑って俺を見た。
『おい。遊にプレゼント渡しといたから』
『え・・・?あ、ありがと・・ございます・・』
『ケーキ食った後に2人で開けろ。
いいか?ケーキ食った後に、だぞ?いいな?
おーし、村田ぁ!帰るぞ!』
『あ・・・・、はいっす!ではっ!』
『じゃあな』
意味深な 言葉を残して、帰っていった。
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