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晃の受難☆2

しばらくすると、 悶絶するような痛みが引いてきた。 そろそろ立てるかな・・・? よし。ゆっくり・・・ゆっくり・・・ すると、ぶつかった相手が また手を伸ばして、立つ手助けをしてくれて、なんとか立つことが出来た。 やっぱり いい人だ・・・ 『・・・大丈夫?』 『・・・・・・・はい』 よし。 頑張ったら歩けそう・・・・ 『あの、急いでて・・・不注意でぶつかって すみませんでした』 『いや、僕はケガしてないから! それより、本当に ひとりで大丈夫?』 『はい、大丈夫です』 『そう?・・・気をつけてね』 その人は きっと仕事の途中だったんだろう、 俺を気にしながらも 早足で駅に向かって歩き出した。 それを見えなくなるまで見送って・・・俺も よたよたと 家を目指して歩く。 中腰で、小股で、よちよち・・・はたから見たら かなり怪しい人に見えそうだけど、構ってられない! いつもより倍以上の時間をかけて ようやく 家にたどり着いた。 雨粒に急かされて、こんなことになったのに、結局 雨は降らなかった。 洗濯物は濡れずにすんだから 結果オーライ。 なハズなのに、なんだろう・・・この空しさは。 でも、空は やっぱり鉛色で いつ降りだすか分からない。 とりあえず、洗濯物だけは取り込んでおくか。 ハンガーがついたまま取り込んで、ポイポイと床に置く。 たたむのは、もうちょっと落ち着いてからにしよう。遊がバイトから帰ってくるまでに やっときゃいいんだし。 それより・・・・・これって 冷やした方がいいのかな・・・・? 鈍く傷むアソコが気になる。 『冷やそ・・・』 冷凍庫から、保冷剤を何個か取り出して、タオルでグルグル巻いて、ベッドに横になる。 あてて しばらくすると、じわじわと冷たさを感じるようになる。 『・・・・・・・・・』 気持ちいい・・っていうより・・痛いな・・ アソコに心臓があるみたいに、ズキン、ズキンと痛みが拍動してる・・・。 怖くて見れないんだけど・・潰れてないよね・・? 腫れてたりすんのかな・・・・? うぅ・・怖いよー 自分じゃ見られないよー 悶々としながら、色んな最悪の事態をぐるぐる想像している内に、頭を使いすぎたからか 俺は・・・スーッと眠りに引き込まれていった・・。 ―――ガタン トントントントン・・ パタン 『・・・・・・・・うーん・・』 ん・・・・・・? あれ? コンコン、と扉をノックする音。 『晃くん、いるー?』 あ・・・、遊、帰ってきた・・・ 『いるよー』 ガチャ、とドアが開く。 『ただいま・・・って、部屋、真っ暗! どうしたの?具合 悪いの?』 『いや・・大丈・・夫・・。・・・・・ん?』 あれ? 俺、なんで寝てんだっけ・・? えーと・・・ 何か・・あった・・・ような・・・? 『・・・・・あっ!』 そうだ、俺・・・! 慌てて、股間を見る。 痛みは感じない・・・から、ちょっとだけ、腰を揺らしてみる。 あ・・・!大丈夫そう・・・っ! よかったぁー!!! 『あの・・晃くん?』 『あっ!あはは・・・大丈夫、大丈夫。』 『・・・・。えーと・・・ご飯は?』 『まだ・・・・です。』 『じゃあ、すぐ作るね』 『うん・・・ははっ!あ、ありがと』 遊は、何故か ジーっと俺を、たっぷり5秒は 見つめてから 部屋を出ていった。 ヤベ・・・、何か変だったかな・・・?

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