212 / 761
遊の災難☆5
でも・・・よかった・・・・
この人が助けてくれなかったら、
僕は・・・今頃・・・。
チラッと横を見ると、目があった。
その人はずっと僕の事を見ていたらしく、目があっても反らすことなく逆にジーっと見つめられてしまう。
そして、僕を見つめたまま確信したようにニヤリと笑った。
『んー、あれだな・・・。
お前、今、男とつきあってるだろ』
『はい・・・・・?』
何を言い出すの・・・この人は・・・。
疑問系じゃなくて、言い切ってるし。
助けてくれて嬉しかったけど・・・
面白そうに ニヤニヤしてる顔を見てると
・・・なんだか・・・イラっとしてきた。
思わず、助けてくれたことを忘れ
睨みつけてしまう。
すると、その人は相変わらず僕を真っ直ぐ見つめたまま急に真面目な顔になった。
『なんつーかなぁ・・、
分かるヤツには分かるんだよ、そういうの』
『・・・・え?』
『まぁ、満員電車は気ィつけろよ。
お前、色気 だだ漏れだから 確実に狙われんぞ。──そういうヤツに。』
『・・・いや・・・・え・・・?』
だだ漏れ?
そういうヤツ?
なに言ってんの・・・?
『自覚ナシかよ』
『は・・・・?』
自覚っていうか
意味が分からないんですけど・・・
『んー。まぁ、気ィつけろって事だよ』
『・・・・・はぁ』
男性は頭をガリガリ掻くと
飲み終わった缶を捨てに行った。
僕の分も 一緒に。
悪い人では ないんだよね・・・。
『よし。もう大丈夫か?』
『あ、はい。』
『1人で電車・・・乗れるか?』
『はい・・大丈夫です。
もうピークは過ぎたと思うんで・・』
『そっか。・・・・で?』
『はい?』
『俺に・・・礼は?』
『・・・・・、は・・・・?』
礼?
急に何を言い出すのかと思ったら・・・
なんなの?
さっき、礼はいいって言ったのに・・・!
『なんかしろよー。助けてやったんだから』
『えぇと・・・ありがと・・・・』
『だからー、言葉じゃなくってさぁ』
『・・・・・・・・・え?』
『そうだ、今からホテル行くか?
体で払ってもらおうかなー♪』
『なっ・・・・///!そ、そんなの!
さっきのヤツらと変わんないじゃないですかっ!』
『ははは!冗談だ、冗談♪』
『・・・・・・・っ!!』
な、なんなの・・・!
なにかしたいの!
なんか・・・急にウザくなってきた・・・・
っていうか、早く大学に行きたい・・・!
かなり早めに行って、教授を待ってるつもりだったから・・・まだ ぎりぎり間に合うかも・・・しれない!
『あの、もういいですか・・・?』
『あ、メシ・・・!』
『・・・はい?』
『メシ、つきあえよ ♪ 』
『メシ・・・?いつですか?』
『今日!』
『今日・・・・?え・・えと・・・』
『じゃあ・・・6時半に ここ、な ♪ 』
『はい・・・・っ!?』
いきなり、今日!?
でも・・・・・・
今日・・・・・
今日か・・・
今日はバイトがある日だけど・・・
早めに済ませちゃった方がいいかな・・?
うん。
後で、電話しとこう。
『・・・・・・・・分かりました・・・』
『決まりだな ♪ じゃあ、また後で』
『・・・・・はい。あ、あの!
ホントに ありがとうございました・・!』
『おー ♪ 』
そこで、男性と別れた。
時計を見る。
だいぶ遅れたけど・・・・いつもよりは早い。
僕は、急いで 大学に向かう事にした。
朝から、とんでもない目にあったけれど・・・
妙な あの人のお陰なのか、不思議と心は凪いでいた。
あの人・・・・・・、
あれ?
あっ!名前 聞くの忘れた!!
まぁ・・・夜 会うし・・・いいか。
ともだちにシェアしよう!