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遊の災難☆6
駅から走って走って、なんとかギリギリ教授に会うことが出来て、レポートも渡せた。
あー、よかった・・・
教授に会うのはギリギリだったけど、講義にはまだまだ時間がある。
時間つぶしに、最近できたばっかりのカフェスペースに腰を下ろした。
お昼時は、学生で溢れているけど・・・今は、
数えるくらいの人しかいない。
何もする気が起きなくて、ぼんやりしていると、スマホが震えた。
(今、どこ?)
『あ。晃くんだ・・・』
最近できたカフェだと、返すと
( すぐ行く )
と返信がきた。
『・・・・・・・・・・え?』
しばらくすると、晃くんが走ってきた。
『・・・・・・・・・・あ・・』
晃くんの顔が見えた途端、
さっきの事が鮮明に蘇って・・・
胸がキュッと痛くなった。
会いたかった・・・
会いたくなかった・・・
2つの思いが複雑に混ざりあう。
『遊っ!・・・レポート・・渡せた?』
息を切らして、隣の椅子に座る晃くん。
僕が1人、早く家を出ることを心配してくれてた晃くん。この時間に大学にいるって事は いつもより早く家を出てきてくれたんだ。
『・・・・・うん・・・渡せた』
『そっか!あ~・・・よかった!
でも、あの時間・・・電車、混んでたでしょ?
大丈夫だった?』
『─────!』
ビクッと、体が揺れた。
『・・・・・・・・・・・え?』
『・・・・・・あ・・・・』
これじゃ 何かあった、
って言ってるようなもの・・・
『・・・・?・・・え? 何か・・・・・あった?』
晃くんの顔色が変わる。
『・・・・・・・・・・』
話さない・・・
訳にはいかない・・よね・・・
目を閉じて 深く深く深呼吸をする。
落ち着いて
落ち着いて・・
ちゃんと話そう・・・
『あの・・・ね・・・』
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