213 / 761

遊の災難☆6

駅から走って走って、なんとかギリギリ教授に会うことが出来て、レポートも渡せた。 あー、よかった・・・ 教授に会うのはギリギリだったけど、講義にはまだまだ時間がある。 時間つぶしに、最近できたばっかりのカフェスペースに腰を下ろした。 お昼時は、学生で溢れているけど・・・今は、 数えるくらいの人しかいない。 何もする気が起きなくて、ぼんやりしていると、スマホが震えた。 (今、どこ?) 『あ。晃くんだ・・・』 最近できたカフェだと、返すと ( すぐ行く ) と返信がきた。 『・・・・・・・・・・え?』 しばらくすると、晃くんが走ってきた。 『・・・・・・・・・・あ・・』 晃くんの顔が見えた途端、 さっきの事が鮮明に蘇って・・・ 胸がキュッと痛くなった。 会いたかった・・・ 会いたくなかった・・・ 2つの思いが複雑に混ざりあう。 『遊っ!・・・レポート・・渡せた?』 息を切らして、隣の椅子に座る晃くん。 僕が1人、早く家を出ることを心配してくれてた晃くん。この時間に大学にいるって事は いつもより早く家を出てきてくれたんだ。 『・・・・・うん・・・渡せた』 『そっか!あ~・・・よかった! でも、あの時間・・・電車、混んでたでしょ? 大丈夫だった?』 『─────!』 ビクッと、体が揺れた。 『・・・・・・・・・・・え?』 『・・・・・・あ・・・・』 これじゃ 何かあった、 って言ってるようなもの・・・ 『・・・・?・・・え? 何か・・・・・あった?』 晃くんの顔色が変わる。 『・・・・・・・・・・』 話さない・・・ 訳にはいかない・・よね・・・ 目を閉じて 深く深く深呼吸をする。 落ち着いて 落ち着いて・・ ちゃんと話そう・・・ 『あの・・・ね・・・』

ともだちにシェアしよう!