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遊の災難☆8

☆☆☆ ――時刻は6時半。 朝、あの人と別れたベンチに晃くんと 座って 待つ。 約束した時間を10分ほど過ぎてから、あの人が現れ、僕に気づいて手を上げた。 『よぉ、待たせたな。・・・・誰?』 隣に座る晃くんを顎で指す。 『・・・あ、あの この人は・・・』 『あの!今朝は遊を助けてくれて、 本っっ当にありがとうございましたっっ!』 僕の声を遮った晃くんが、ガバッと立ち上がり、物凄い勢いで頭を下げた。 『・・・ああ!もしかして、コレかっ?!』 と、親指を立てる。 『え・・・とあの・・・』 『そうです!俺が彼氏ですっっ!!』 またも 僕の言葉を遮る晃くん。 それを見て、男性はフッと笑った。 『なんだよ~!彼氏なんか連れてきやがって~。あ。もしかして 俺、信用ない?』 『ないです。』 『うわー、厳しい~!』 きっぱり言うと また 男性は楽しそうに笑う。 うーん。怒ってはなさそう・・ 大人の余裕って感じ? 朝は、じっくり見る余裕がなかったけど・・ 背が高くてガッチリしてて、茶髪でゆるくパーマがかかってて、それがよく似合う男らしい顔立ち・・・なかなかのイケメンだ。 多分、相当 遊んでて 相当 モテる そんな気がする。 『あ、・・お名前・・聞いてもいいですか?』 『あー、言ってなかったな・・・俺は、新見 英道(にいみ ひでみち)だ。お前は?』 『篠宮 遊です。』 『志田 晃ですっ!』 『ゆう と、あきら ね。よろしくな♪』 『よろしく・・』 『よろしくお願いしまーすっっ!!』 『晃・・・お前、面白ぇな!』 カラカラ豪快に笑う新見さん。 笑うと目尻が下がって、優しい顔になって ホント、男前・・・・。 晃くん・・目 キラキラしてるし・・・。 『・・・んじゃ、行くか!』 新見さんが先を歩き出す。 『あ、あの・・!僕、学生なんで・・あんまり いいお店知らないし・・・そ、その・・・お金も・・』 先に言っとかないと、と慌てて呼び止めると新見さんは意外そうな顔で振り向いた。 『は?お前に払わす訳ねーだろ?』 『え?でも…お礼しろって・・・。』 『はっ。んなの冗談に決まってるだろ~が。 まー、俺に任せとけ。ウマイもん食わしてやるからよ♪』 新見さんは そう言って また歩き出す。 ・・・・・・・・。 ・・・もう、なんなの? 悔しいくらい・・・男前。 晃くんてば・・目からハートマーク出ちゃってる! もう・・・!悔しい・・・!

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