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遊の災難☆15

*** 新見・side *** 駅前に着く前に走ってたタクシーを停め、 乗り込む前に俺のスーツを上から着せてやる。 また触ったら 怖がらせる・・?と思ったが 少し落ち着いたらしく、おとなしく されるがままだった。 行き先を告げて、シートにもたれた。 あー、疲れた・・・ 最悪な日だった・・・ って、それはコイツの方か・・・ チラッと隣を見れば、俯いて じっと動かない。 あまり話しかけてもウザいだろう・・・と、 シートに深く座り直して・・・・目を閉じた。 ☆ ☆ ☆ 『お客さん、お客さーんっ』 『ん・・・、あ』 いつの間にか眠ってしまったらしい。 とりあえず運転手には 俺のマンションの住所を言っていたのだが・・・ 『おい、お前・・・・』 "家、どこだ?"と、聞こうとして、 そいつの呼吸が浅くて早いことに気づいた。 『え・・・・?』 額に手を当てると、かなり熱い。 『・・・お前、熱あんじゃん・・!』 おとなしいと思ったら・・・ こういう事か・・・。 『え・・・、どうされますか?』 運転手は困ったように聞いてくる。 あんまり運転手に迷惑はかけられない。 ・・・・仕方ない。 起きそうにないし、 ウチに連れてくしかない・・・ 『ここで降ります』 2人分のカバンを手に取り、 一旦 外に出てから抱き上げる。 うわ、軽っっ! コイツ・・・ちゃんとメシ食ってんのか? まぁ、 今は 部屋まで運ばなきゃ行けねーから、 軽い方が助かるけど。 『あー、やれやれ・・・』 やっと帰ってきた・・・ ぐったりした男をベッドに寝かせる。 さすがに重くて、少し乱暴に下ろしてしまったが・・・まったく起きる気配はなかった。 『あー、疲れた・・・』 腹も減ったし なんか食うか・・・ コイツも食ってないんだろうけど 熱あるし・・食わねーかな。 部屋着に着替え、とりあえず缶ビールを 半分ほど一気に喉に流し込む。 『・・・・・・あ、そうだ』 ふと思いついて、タオルと湯を入れた洗面器を持って、寝室に向かった。 服を脱がし、タオルで拭いていく。 傷は軽いものばかりで、消毒しとけば 大丈夫そうだ。 消毒も済ませ、俺の服を着せておく。 その昔は俺も 相当やんちゃしてたから ケガの手当てなんてお手のもの、だ。 しかし・・・、 これだけ色々しても 起きないつーのも どうしたもんか・・・ これじゃ薬も飲めねーな・・・ とりあえず デコ冷やしとくか。 冷却シートを額に貼り、 やれることはやった安心感で 息を吐いた。

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