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遊の災難☆16

*** 新見・side *** 『あ、やべー』 病人に食わす物がないな ・・・なんか買ってくるか 思い立ったら即行動。 コンビニに行って、お粥、スポーツドリンク、ゼリーにプリン、パン、弁当・・・と、今までコンビニで こんな大量の買い物したことないってくらい買い込んで、 部屋に戻った。 買ってきたものを 片付けてから 寝室に様子を見に行くと、寝かせた時のままで起きた様子はなかった。 ホッとして、軽く汗を拭いてやり、温くなった冷却シートを替える。 それから、弁当を食べ、シャワーを浴びて、 ビールを飲みながらテレビを観る。 いつもの日常・・・だ。 違うのは、 自分の寝室で寝込んでるヤツがいること・・ 名前も何も知らない、 さっき会ったばかりの男・・・ ――って、 普段の自分なら、初対面のヤツを家にあげるなんて・・・絶対しない なのに・・・ なんなんだかなぁ・・・ 放っとけなかったんだよなー 痴漢から 助けたあと、 服を着たアイツが俺の前に来たとき 俺の中に芽生えた感情は・・・ このまま1人で帰したくない このまま別れるのは嫌だ 守ってやりたい なんて・・・ 自分勝手な思い あーっ! 俺らしくない! なんだ、これ。 平日は仕事に差し支えるから あんまり飲まないようにしてるのに・・ 3本目のビールを開けた。 何本 飲んでも 酔う気がしない。 グイッとひと口飲んだところで 寝室からカタンと物音がした。 そっと寝室を覗くと、ぼんやりと目を開けているのが見えた。 『起きた?』 『・・・・・・・・・・・・』 怖がらせないように なるべく優しく声をかけてみる。 誰?、みたいな顔はしたが、起き上がる元気はないようだ。 『えーと。お前、タクシーに乗ってから 熱 出したんだよ。で、ここは俺の家』 『タク・・・・・・・・・ね・・つ・・・・?』 うーん・・ わかってないな・・・ま、いいや とりあえず・・・ 『水、飲むか? 薬も飲んだ方がいいんだけどなー なんか食える?』 ・・・なんてな。 ダメ元で聞いたら 『おなか・・・・・、・・・・すい・・た・・・』 意外な返事が返ってきた。 『お?そ、そっか!よし、お粥あっためてくるからな?待ってろ!』 『・・・・・ん・・・』 俺はダッシュでキッチンへと走って、スポーツドリンクを出して、ダッシュで寝室に戻る。 飲めるようにキャップを外してサイドテーブルに置いて、またキッチンへと走り、お粥を温める。 なんで俺はこんなに必死なんだ・・・? マジで、どうしたんだ俺! なんなんだ、これ!

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