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遊の災難☆19
*** 新見・side ***
帰る・・・?
帰るだと?
理解すんのに たっぷり10秒は かかった。
『なんで?』
思わず、キツい口調になると
晴臣の動きがビクッと 止まった。
『え・・・?なんで、って・・・これ以上、
迷惑・・・かけられない・・・し・・・』
『迷惑じゃねーよ。
まだ熱だって下がりきってねーんだし
帰んなくても・・・・』
思わず腕を掴む。
──と、晴臣の体が強ばり、思いっきり
腕を振り払われた。
『さ、触んな・・・っ!』
『・・・・・っ!!』
拒絶・・・された。
そう思った途端、カッと頭に血がのぼった。
『俺をアイツらと・・・・、
あんな低俗なヤツらと 一緒にすんなっ!』
『────っ!』
その一言に、晴臣は ものすごく傷ついた顔をして・・・その場に へなへなと うずくまってしまった。
はっ・・・と我にかえる。
何やってんだ・・・・・俺は。
『悪い・・・・』
うずくまってしまった晴臣の背中に触れようとして・・・気づいた。
小刻みに震えている体。
自分の体を抱きしめている指は、力が入りすぎて白くなっている。
怯えている・・・
怯えてるんだ・・・・
その姿に胸が痛くなった。
おそらく・・・
今は、誰かに触れられるのが怖いんだ・・・
あんな事があったんだから・・・
『悪かった。もう触らないから・・・』
晴臣が顔を上げる。
『・・・・・っ、ごめんなさい・・・』
『いや・・・今のは俺が悪かった。
お前の気持ち、分かってなくて・・・
でも・・・その・・心配だから・・・さ、
帰らないで ここにいて・・くれないか?』
『・・・・なんで・・・?』
『ん?』
『なんで・・そんなに優しいんですか・・・?』
『・・・・・・』
なんで・・なんだろうな・・・
俺が聞きたい。
この思いが何なのか・・分からないけど。
傍にいてやりたい・・守ってやりたい・・・
離したくない・・・
ただただ そう思うんだ・・・
答えられずにいると・・・
晴臣の手が、そっと俺の手に重なった。
震えは止まっていない。
でも、それが晴臣なりの必死の感謝の気持ちの表れ・・・なんだって事は分かった。
温かい。
嬉しくて切なくて、くすぐったい・・・
そんな思いがじわじわと胸を熱くする。
晴臣が・・・
自分の中で なにか特別な存在になったのは
・・・もう・・認めざるを得なかった。
そして、晴臣は俺の気持ちに応えてくれて
自分の家には帰らなかった。
(って、ホントは微熱が続いて ベッドから起き上がれなかっただけなのだが・・・)
結局 帰ったのは 3日後の日曜日の午後だった。
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