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遊の災難☆22
『あ・・・っ・・・』
止める間もなく晴臣さんが出ていってしまい、追いかける事も出来なくて、出入口のドアを
ただ呆然と見つめる。
新見さんはというと、晴臣さんが出ていってしまったというのに・・・特に慌てることもなく、のんびりコーヒーを啜っている。
『新見さん・・ごめんなさい・・・!』
申し訳なくて 謝る
けど、新見さんは冷静だった。
『ん?あー、大丈夫 大丈夫。
アイツ、いつも あんな感じだから』
『でも・・・・・』
『大丈夫だって。そのうち戻ってくるか、
入り口の辺りにいるか、どっちか
だから』
『え・・・・。』
『それより・・・悪かったな。
ハルの事、考えて言ってくれたのに・・
アイツ、反抗的で』
『あ、いえ・・・。何だか もどかしくて・・・
ついポロっと本音が出ちゃいました』
『はは。
確かにアイツは素直じゃないからなー』
そう言ってコーヒーを啜る新見さん。
でも、やっぱり 何となく・・そわそわしてて
落ち着かない感じがする。
『新見さんも・・・素直じゃないでしょ』
『ん?』
『原因を作った僕か言うのもなんだけど
・・・平気なふりしてないで、
晴臣さん・・・探しに行ったら?』
そう言うと、
新見さんはびっくりしたように目を見開く。
『・・・・・・・・・・はっ、
なんか・・・お前には・・・・敵わねぇな』
新見さんが頭をボリボリ掻きながら、
ゆっくり立ち上がる。
『あとね?
大事にしたい気持ちは分かるんだけど・・・
それが晴臣さんにとっては逆に、
辛かったりもすると思うんだ』
『・・・どういう意味だ?』
『あれだけ照れ屋なんだから・・・晴臣さんからのOKとか待ってたら、何年かかるか・・・。
もっと新見さんが積極的にいかないと』
『んー、んー・・・・・でもなー』
『いきなりは無理だろうけど・・・少しずつ』
『んー。そうか・・・そうだな。
でも、先ずは俺がアイツを好きだってのを
信じてもらわねーと・・・なぁ』
『ああ・・・。同情って言ってましたもんね』
『何度も言ったんだ・・・。
違う、っつってんのに・・・・信じねー』
『し、信じてるよ・・・///』
『『え・・・?』』
突然 聞こえた声の方へ視線を巡らせると、
いつの間に戻ってきたのか晴臣さんが 居心地悪そうに立っていた。
その晴臣さんの後ろには、ニコニコ笑った晃くんが立っている。
あ・・・・。
どうやら、晃くんが晴臣さんを
連れ戻しに行ってくれてたみたい。
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