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遊の災難☆23
*** 遊・side ***
『ハル・・・』
『英道の事は信じてるよ・・・。
そ・・の・・、その・・あの・・・・・////
お、俺を好きだって気持ちに・・ウソがない事も・・・ちゃんと・・・分かってる・・・・・///』
顔を真っ赤にして、それでも一生懸命
言葉を紡ぐ晴臣さん。
『あぁ、やれやれ』
僕の隣に晃くんが戻ってきて座った。
『お疲れさま、晃くん。
晴臣さんに なんて言ったの?』
急に素直になった事が気になって
聞いてみる。
『ん?普通に、新見さんの事 嫌いなの?って聞いてー、少し話してー、・・・あと、ちょっと肩に触ってみた』
『え?』
『立ち上がるのに手も貸したけど
怯えたりしなかったし 普通だったよ』
『え・・・そうなんだ』
『うん。
俺、思ったんだけどさー、
あんなに過剰反応するのって、新見さんだから・・じゃないのかなぁ?』
『新見さん、だから?』
『うん。
・・まぁ・・・要するに、新見さんのこと
意識しまくってるから・・・なんじゃないかなぁ、って』
『あー、なるほど!』
だったら・・・大丈夫じゃない?
あと、あの2人に必要なのは、勇気と きっかけ。
『ありがとう、ハル』
『・・・・・・・・・///////』
照れまくる晴臣さんの頭を嬉しそうに
優しく優しく撫でる新見さん。
この光景・・・見るの何回目だろう?
やっぱり、
イチャイチャしてるようにしか見えない・・・
さっき兄弟みたいに見えたのは、一歩 踏み出せてなかったから・・・・なのかな?
『そろそろ帰ろうか』
新見さんが、会計を済ませていると、
晴臣さんが、真っ赤な顔のまま
僕たちの傍に歩み寄ってきた。
『あの・・遊、さっきは ごめん・・。
晃も・・・ありがと。
・・俺、もっと素直になってみる。
――ように・・・ど、努力・・する///』
『はは、頑張って~』
『うん・・・・。あ!晃!俺のが年上じゃんっ!
ため口は ないだろっ!』
『えー。だって年上に見えないんだもん』
『なんだとーっ////!』
キーっと、怒る晴臣さんが・・・かわいい。
晃くんと晴臣さんが じゃれあっていると、
新見さんが僕にそっと、告げてきた。
『ありがとな。・・遊と 仲良くなってくれたら・・と思って、アイツ 連れてきたんだけど・・それ以上の収穫』
『収穫って・・・』
『アイツの気持ちも確認できたし・・・
これからはグイグイいく♪』
『うん。あ、でも・・・ゆっくりね?
焦っちゃダメだよ?』
『分かってる、分かってる♪』
ニシシ・・・と笑う新見さんが・・・怖い。
そんなこんなで、最初の痴漢事件を忘れるくらいの濃い時間を過ごした僕たちは、新見さんたちと別れて、家路に就いたのだった。
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