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晃の苦悩★3

*** 晃・side *** 『え?・・・バイト・・・を?』 『うん・・、俺と一緒に・・しない?』 俺は帰って すぐ、遊に話をした。 遊は、俺の話を聞いた後 少し考えて・・・ 「本屋のバイトは辞めない」って、 俺の目を見て ハッキリと言った。 『晃くん。 心配してくれて ありがとう・・・ でもね・・・?僕は大丈夫だから』 微笑む遊の言葉にウソは・・・ない。 でも・・なんだろう・・・ すんなりと、受け入れられない俺がいる。 『ホントにありがと・・・ 晃くんの気持ちはすごく、すごく嬉しい。 僕のために色々 考えてくれて・・・ ありがとう』 『・・・・・・・』 ほら、「うん」って言わなきゃ。 なのに・・・、言葉が出てこない。 モヤモヤする・・・・。 なんで? 『晃くん・・・?』 遊が心配するだろ・・・! ほら、言え。 「分かった」って一言 たったの一言・・・ 『晃くん』 無意識に下を向いて、目を閉じていた俺に、遊が抱きついてきた。 俺の背中を擦りながら、優しく囁く。 『晃くん・・何が不安?何が怖いの?』 『不安?・・・怖・・い・・・?』 『うん。そんな顔してる・・・』 『・・・ああ、そっか・・・そうだ・・・ 不安で怖いんだ・・・俺・・・・』 『それは 僕が また1人で電車に乗って 痴漢にあうこと?』 『え・・?・・え・・と・・・・うん・・・』 『・・じゃあ、 電車には もう1人で乗らないようにする。 バイトの時は・・終わったら そのまま本屋で 待ってから・・・迎えに来てくれる?』 『──っ!・・・うん! うん!迎えに行くっ!』 『ありがとう・・・ 僕も気をつけるね』 『うん・・・・・!』 遊の言葉で ほんの少し・・ 気が楽になった・・・気がした。 けれど、 訳の分からないモヤモヤは晴れない。 なんだろう・・・ 俺は一体 何が引っ掛かってるんだろう?

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