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晃の苦悩★6
ちょっと、待って・・・!
なんで?
電話する遊を横目で見る。
モヤモヤ
モヤモヤ・・・
あぁ・・
やっぱり、酷くなってる・・・!
『えー?あはは』
遊が楽しそうに笑ってる・・・
モヤモヤに紛れて、
胸まで キュッと痛くなってきた。
――何これ・・・
新見さんの電話がかかってきた途端・・・
はっ!
もしかして
俺のモヤモヤの原因は・・新見さん・・・?
なんで?
だって・・遊を助けてくれた人・・なのに・・・
晴臣さんの事だって、長い間ずっと
見守ってきた、優しい人で・・・
男の俺から見ても、
男らしくて、格好よくて・・
人を惹き付ける・・魅力的な人で・・・
俺だって、会ってほんの数分で
憧れちゃうほど素敵な人なのに・・・
なのに・・・
なんで?
『――うん。うん――そうだね。ふふっ』
まだ終わらない電話・・・
楽しそうな遊。
モヤモヤ
チクチク
モヤモヤ
チクチク
どんどん・・・
強く大きくなっていく・・・・
『うん。晃く・・・、────っ?!
あ、ごめん、切るねっ!またねっ!』
チラッと俺を見て慌てた遊が、
急いで電話を切った。
『晃くん、どうしたのっ!?』
『え・・・・?』
『顔色、悪いよ?大丈夫・・・?』
『・・・うん・・・・・平気・・・』
俺は・・・
俺ってヤツは・・・
遊を助けてくれた人に
なんて事を考えるんだろう・・・
俺は・・・
俺なんか 心が狭い・・・ただのガキだ
新見さんみたいに・・・
あんな人には・・・なれない
――ああ、情けない。
俺は・・・なんて小さい男なんだ・・・・
ああ、
そうか・・・
俺のモヤモヤは・・・
新見さんに対する・・・嫉妬だったんだ
俺が、遊を助けたかった。
守りたかった。
俺が・・・新見さんになりたかったんだ。
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