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晃の苦悩★10
『うん・・。今朝の事・・・・・
結果的には何もなかったからよかった、って
思おうとした・・・けど・・、
でも・・、
なんで僕は あの時、諦めてしまったんだろう・・なんで もっと死ぬ気で抵抗しなかったんだろう・・・って・・・・・』
『遊・・、それは・・っ・・
その・・仕方なかったっていうか・・・!』
『うん。あの時は・・下手に抵抗するより早く終わらせた方がいい・・・って思った・・・・。
でもね・・、あとから思えば思うほど
あの時の自分が許せなくて・・・・。
・・・・でも・・、僕は、それを晃くんに言えなかった・・・・。晃くんに嫌われるのが怖くて・・』
ポロっと遊の目から涙がこぼれ落ちる。
あの忌まわしい日ですら・・
泣かなかった遊が。
痴漢にあった事より・・
俺に嫌われることの方が怖い・・・なんて
ポロポロ涙を流す遊を見ていたら、
言い知れぬ愛しさが溢れてきた。
なんでも分かってるつもりでいて・・
結局、まだまだ分かり合えてない所が
いっぱい あるんだな・・・俺たちは。
それでも、こうやって本音を晒して、
分かり合えれば、もっともっと好きになる・・・。
1度 泣いてしまったら止まらなくなったようで、子供みたいに泣きじゃくる遊を しっかりと抱きしめた。
泣き疲れて眠るまで、キスをして・・・
寝顔を見つめながら
俺は自分の不甲斐なさを猛烈に反省した。
あんな事があって・・・
平気な訳がないのに・・・
あの日、もっと ちゃんと話をして・・・
ちゃんと 泣かせてあげればよかった・・・
これからは どんな事でも
受け止められる大きな男にならなくちゃ
・・・誰かの真似じゃなくて
俺は俺の やり方で。
俺は、俺でいいんだから・・・
そう思いながら・・・
遊の寝息に誘われるように 目を閉じた。
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