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晴臣の試練☆5

その後も、調子にのった英道が、 「生殺し」だの「純愛」だの ペラペラ喋って 俺たちの事をバラすし・・・、 晃も、何故か「純愛」って言葉に反応して キラキラした目をしている。 そりゃ・・・こんなに長い間 宙ぶらりんな状態なのは悪いって・・・ 俺だって思ってるよ! そんな事を思ってたら 『素直に なればいいのに』 なんて、遊のって声が聞こえた。 え? ハッとして遊を見ると、 思わず言っちゃった、って顔をしていた。 でも、言葉を止めるでもなく、 『好きなら受け入れちゃえば? ・・・・・今より ずっと楽になると思うよ』 そのまま、続けて言ってきた。 は? なんだ、それ・・・ しばらく、頭の中でその言葉を咀嚼する。 だんだん言われた意味を理解してくると・・・ ものすっごく イライラしてきた。 人間っていうのは、 分かってても・・それでも出来ない事を ズバリと指摘されると、腹が立ってしまうもので・・・しかも 今日 初めて会ったヤツに・・・ なんで、そんな事 言われなきゃいけないんだよ・・・! そう思うと・・・悔しくて、悔しくて。 唇を噛みしめ、拳を握りしめ・・・なんとか 気持ちを静めようとしたんだけど・・・ 『お前に・・・何が分かるんだっ! 勝手なこと 言うなよっっ!』 結局は、ガマンできずに そう叫ぶと、店から飛び出した。 勢いで飛び出したものの・・・ 走って、走って、しばらくする 疲れて足が止まった。 荒くなった息を整えていると、 落ち着いて考える余裕が出来てくる。 『あー、やっちゃった・・・・』 遊は遊なりに俺たちを心配して言ってくれたんだろうに・・。 それでも、自分だって悩んで、 なんとかしたいって ずっと思ってきただけに、はっきりと言われてしまって、カッとなってしまった。 『俺って・・・ガキ、だな・・・』 走って来た道を振り返る。 遊・・・気にしてるかな・・・ 悪いことしたな・・・・ 英道・・・・・は、 追いかけても来ないし・・・ って・・・、 あの2人を置いて来れないか さすがに呆れちゃったかな・・・ このまま・・・帰ってしまったら、 あの2人とは気まずくて もう会えない気がする・・・。 俺が悪いんだから、きちんと謝らないと ダメだよな。 うん。 『戻るかぁ・・・・』 あーあ、足が重い・・・・ 夢中で気がつかなかったけど・・・ 結構な距離を走ってしまったらしい。 『あーあ・・・』 俺は大きく ため息をついた。

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