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晴臣の試練☆9

マンションに着いて、 エレベーターに乗り込む。 手はずっと繋いだまま・・・だ。 『ひ・・・英道、て・・っ・・手・・・っ・・ ////』 こんなとこ 人に見られたら・・・恥ずかしいっ! でも、英道は何も言わず 繋いだ手も離そうとしない。 『ひ、英道・・・っ・・・』 グッと、 引っ張ってみるけど びくともしない。 『ひで・・みち・・・?』 相変わらず返事もしない。 な、・・・なんなんだ・・? なんか 分かんないけど 言ってもムダっぽい・・・気がする 仕方ないな・・ 諦めて、そのままにしておく事にした。 その後は 引っ張られるように部屋の前まで来て、鍵を開けて部屋の中に入れられた。 まだ手は離してくれない。 そして、喋らない・・・ なんか・・・いつもの英道じゃないみたいで 少し・・・・怖い・・・ 来ない方がよかったのかな・・・ と思っていたら・・・リビングまで来て やっと手を離してくれた。 繋いだ手が・・・意識しすぎて 痺れたようになっていた。 『ハル、なんか飲むか?』 手を振って、痺れを治そうとしていると 英道に声をかけられた。 『・・・・・・・』 いつもの英道だ・・・な・・・? さっきまでのは、何だったんだ・・・? 『ハル、どうする~?』 『・・・・あ、ううん。 さっきドリンクバーで いっぱい飲んだから ・・・いい』 『そっか? ──じゃあ、俺 風呂入れてくるわ』 さっさと部屋着に着替えた英道が、 風呂場に向かう。 それを じっと見送って、 無意識に詰めていた息をそっと吐き出した。 『はあ・・・・俺も着替えよ』 部屋着に着替えて、英道が脱ぎ散らかしたスーツも一緒にハンガーにかけて 寝室へ持っていく。 クローゼットの扉にハンガーをかけて リビングに戻ろうと、振り返ったら・・・ 目の前に英道が立っていた。

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