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新見さんと。☆5
店を出て、駅に向かって歩いていると
ポケットの中のスマホが鳴った。
『あ、新見さんだ。───はい』
「よぉ。さっきは どうもな~♪
薫、荒れてなかった?」
『荒れてましたよー。
あんな店長、初めて見ました。
あ、それで・・・あんまり店には来るな、
みたいなこと言ってましたよー?』
「あ、やっぱ?
よし!明日も行こうかなー♪」
はははーと、豪快に笑う新見さん。
すっげー、楽しそう・・・
うーん、これは店長が嫌がるのも
分かる気がするなぁ・・・
「そうそう、鍋しようって話だけどさ・・」
話題は あっさり変わり
とりあえず 新見さん達のあいてる日を教えてもらって、その中で合う日を こちらからメールで返事をする事となった。
話が早いな~。
すっげー 楽しみ!
遊にも聞いて、すぐ返事しよーっと。
さらにウキウキした俺は、駅まで走って電車に飛び乗り、家路を急いだ。
* * *
『ただいま~♪』
『あ、晃くん。おかえりなさい』
ボスンッと、俺の胸に飛び込んでくる遊。
いつものようにギューして、顔をすりすりしてくる。
あー、今日もかわいいーっ!
疲れが吹っ飛んじゃう~♡
玄関でもハグを堪能した後、一緒にソファーに座って寛いで・・・しばらくしてやっと新見さんの事を思い出した。
『あ、そうだ!
新見さんが 今日、店に来てさ~
近いうちに、新見さんちで鍋しないかって
話になったんだけど・・』
『・・・え?鍋!? わー、楽しそう!
行く行くっ!』
遊もノリノリで話に飛びついてくる。
“じゃあ”と、2人のバイトのない日を確認。
日にちを決めて、メールした。
『あ~、あとさ・・・、新見さんと店長、
高校の同級生なんだって~』
『えーっ!?そうなんだぁ?』
『うん。・・あの店長が、新見さんはマジで
苦手みたいでさ・・・・。
見たことないくらい荒れて荒れて・・。
見てたら面白かったよー』
ホントは、すっげー怖かったんだけど・・
それは内緒にしとこう・・・
『へぇ~!見たかったなぁ・・・ふふっ』
『なかなかなモンだったよ。
あんな店長 、見たことないもん』
すっげー 怖かったけどね。
『へー、薫さんの意外な一面だね』
『うん。遊に見せたかったよー』
ホントは
すっげー、怖かった・・・けどね!
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