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新見さんと。☆10
『もっと押せ押せでいくのかと思ったら
意外と慎重なんですね?』
ロールケーキをお皿に乗せている新見さんの横に座り、フォークを配りながら 遊が晴臣さんに聞こえないよう こっそり話しかける。
『ああ・・、うん。
アイツを怖がらせることはしたくないからな・・。
まぁ・・・のんびり、な。
平気そうな顔してるけど・・アイツの傷はまだ癒えてないだろうし』
なんて、なんでもない事のように
さらっと答える新見さんに感動してしまった俺は
『新見さん・・。ホントは いい人・・・!』
つい、ポロっと本音が・・・・・
『ああ?晃、ホントはってなんだよー』
ちょっと怒った感じで新見さんに睨まれた。
あ、ヤバい・・・(汗)
本気で怒ってる訳じゃないだろうけど、
焦っていたら、遊が話題を変えてくれた。
『でも、キスはしたんでしょ?』
『ん?・・・ああ♪ キスして、抱きしめて・・
今はそれで充分満足、だな』
『うぅ・・・純愛・・っ・・!』
『お、おい・・・晃ぁ。泣くなよー』
『晃くん・・・。大丈夫?』
遊が、ハンカチを出して、俺の前に差し出してくれる。
『ゆ、ゆー・・・』
ヤバい・・・。
マジで、泣いてしまいそう・・・
やっぱり・・・新見さんって大人だ・・・
カッコいい・・・!
万年発情期の俺とは違うんだよー
そして、遊は、優しい・・・!
なんて かわいくて、かわいいんだー!
『あれ?晃・・・なんで泣いてんの?』
コーヒーを淹れた晴臣さんが、戻ってきた。
『な、なんでもない!
えーと・・えと・・・あ、そう・・・!
き、昨日みた映画の話で・・・泣けちゃって・・・』
『ふーん・・・?』
『ハル、ここ置いて?』
『・・・うん』
いまいち納得してない顔をしてた晴臣さんだけど、ケーキのお皿を新見さんから渡されると、すぐに気持ちはケーキに移ったようで、ケーキを見つめ ほくほくの笑顔になった。
『うまそー♪食べよー♪』
『その前に晃と遊に、ありがとうはー?』
『あ、そっか。ありがとう!』
『はーい、よくできました~♪』
『・・・っ///!!こ、 子供扱いすんなっ!』
また始まった・・・
でも これも、新見さんなりの
優しさなんだろうなぁ・・・
多分・・・ね・・・
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