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新見さんと☆16

*** 晃・side *** 寝室のドアが開いて、2人が出てきた。 『随分 長かったな』 新見さんが、待ちくたびれたように声をかける。 『うん。まぁ、色々と・・・な』 『話が弾んじゃって!ねー?』 2人は、取って付けたような顔で笑い・・・ 『コーヒー、おかわりしよっかなー』 『そうだねー』 また、連れ立って キッチンへ行ってしまった。 『なんだぁー?』 『・・・・・・』 なんだろ・・・、 結構 深刻な話だったのかな? 『おかわり、いる人~!』 キッチンから遊の声がする。 なんだか、空気を変えたい、そんな雰囲気を感じた俺は努めて明るく返事をした。 『いるいる~!新見さんは?』 『・・・・・いる』 『新見さんもでーす!』 『了解~』 新見さんは しばらく探るような視線を晴臣さんに送っていたけど、考え直したように フッと体の力を抜いて、俺の方を見た。 『・・話す気になるまで待つか・・・』 『そうですね・・・』 『はー。俺、ホントにすげー 忍耐力ついたわ』 『はは。おめでとうございます』 『めでたくねー。ま、でも自分の知らなかった自分って面白いよな。いい経験になる』 『あはは。前向き!』 『俺は・・・ハルと会わなかったら、 適当に生きて、適当に遊んで・・・・・結婚は・・しないだろうから、1人で適当に死ぬんだろうなって思ってたよ』 『え?結婚する気なかったんですか?』 『面倒くせーじゃん。誰かのために一生 縛られて生きるのなんか ごめんだね。───って、ハルに会うまでは思ってたよ』 『へぇ・・。なんか・・・店長っぽい』 そう言うと、新見さんはギョッと目をむいた。 『はああ!?薫っぽい?マジで?!やべぇ! ・・・・・あー、でも・・・そうだなー、アイツも結婚は向いてないもんな。つか、しない・・・いや、出来ないな。うん』 『バイで、変態でタラシで、ドSな悪魔ですもんね。』 あー、久しぶりに言った。このセリフ。 『・・・・・・ぶーっ!!』 俺の発言が 相当 面白かったのか、 ゲラゲラ笑い出す新見さん。 しばらく笑い続けた後も ヒーヒー言いながら 涙を拭っている。 『ははは!スゲーな、的を射てる!』 『はい。未だに正体が掴めません・・・』 『おー、薫の事なら なんでも聞けよ、俺に♪』 『・・・あー、・・・いや、報復が怖いんで』 なんでも分かっちゃうんだよなー、てんちょ。 怒らせたらマジ怖い。 『そうかー?俺は怖くないけどなぁ』 『新見さんはそうでしょうよ!俺はダメです~!』 『お前・・・弱そうだもんな』 『はい・・・、ってヒドイッ!!』 『はははは!』 と、場の雰囲気が和んだところで、 遊と晴臣さんがコーヒーを運んできた。

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