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第二章 我慢できない!
二度目に会う大翔は、もう楓を相手に凄んで見せることはなかった。
「あーもー解んねえ!」
こんな悪態をつきながらも、ちゃんと勉強をする姿。
父が見れば、感激して男泣きするだろう。
そんな大翔が、1時間ほど経ったころ、ペンを置いた。
「な、先生。ちょっとブレイクしようぜ」
「ブレイク?」
大翔が得意そうな顔をして、手を二、三度叩いた。
するとドアが開き、征生がトレイを持って部屋に入って来た。
「お疲れでしょう、先生。お茶をお持ちしました」
大翔はデスクからすっ飛んでソファに座り、ローテーブルに並べられる茶器やケーキを楓に向けた。
「モンサンクレールのケーキだぜ。先生、一緒に食べよう!」
「あ、ありがとう」
楓は一応お礼を言ってソファに座り、紅茶を淹れる征生に会釈した。
「すみません」
「お口に合えばよろしいのですが」
お茶の準備だけ済ませると、征生は出て行ってしまった。
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