7 / 99

第二章 我慢できない!

 二度目に会う大翔は、もう楓を相手に凄んで見せることはなかった。 「あーもー解んねえ!」  こんな悪態をつきながらも、ちゃんと勉強をする姿。  父が見れば、感激して男泣きするだろう。  そんな大翔が、1時間ほど経ったころ、ペンを置いた。 「な、先生。ちょっとブレイクしようぜ」 「ブレイク?」  大翔が得意そうな顔をして、手を二、三度叩いた。  するとドアが開き、征生がトレイを持って部屋に入って来た。 「お疲れでしょう、先生。お茶をお持ちしました」  大翔はデスクからすっ飛んでソファに座り、ローテーブルに並べられる茶器やケーキを楓に向けた。 「モンサンクレールのケーキだぜ。先生、一緒に食べよう!」 「あ、ありがとう」  楓は一応お礼を言ってソファに座り、紅茶を淹れる征生に会釈した。 「すみません」 「お口に合えばよろしいのですが」  お茶の準備だけ済ませると、征生は出て行ってしまった。

ともだちにシェアしよう!