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第二章・2

「大翔くん、お茶の時間の分だけ、勉強時間は延長だからね」 「いいよ、別に」  意外な大翔の返事に、楓は眼を円くした。  きっと、嫌がるだろうと思っていたのに。  大翔は、それをにんまりと見ていた。 (俺がこんな準備をしたのは、純粋に先生とお茶したかったからだよ~ん)  こうして二人きりでいると、まるでデートのようだ。  洋菓子店のオープンテラスで、心地よい風を受けながらお喋りでもしている気分だ。  いつもは炭酸飲料でスナック菓子をバリバリ食べている大翔は、香り高い紅茶と気品高いケーキにすっかり大人の気分だった。 「先生、大学2年生だったよな。年、いくつ?」 「20歳だよ」 「ハタチ、かぁ」  俺はまだ、17歳。  たった3年しか違わない年齢なのに、どうして先生はこんなに大人に見えるんだろう。

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