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第六章・2

「先生、お疲れ様です。お車で、お送りします」 「ありがとうございます、難波さん」  車を走らせながら、征生はやはり淡々と話す。 「合格した暁には、先生の望むものをお贈りしたい、と組長が申しております。何かご希望は?」 「まだ気が早すぎますよ、とお伝えください」  こんな二重生活にも、もう慣れた楓だった。  至極真面目に会話しながら、もう体が疼き始めている。  さっき大翔に抱かれた余韻も抜けないうちに、この後征生に抱いてもらえるのだ。  いやが上にも、昂った。  早く、その腕で抱きしめて欲しい。  楓、と耳元で囁いて欲しい。 「あ、そこのコンビニで止めてください」 「はい」  自動車は、駐車場に滑り込んだ。 「すみません。ちょっと、買い物してきます」 「では、お待ちしております」  楓は、車から降りてコンビニへ走った。  屋外でタバコを吸っている若者数名が、それを見ていた。  

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