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第六章・8

 震える楓の肩を、征生はそっと抱いた。 「4人がかりで1人に勝てなかったんだ。ばつが悪くて、上に申し開きもできないさ」  それに。 「それに、大事な楓を穢す奴らは、どうしても許せなかった」 「征生さん」  楓は、その胸にすがりついた。 「組には報告するが、おそらくはお咎めなしだ。安心しろ」  笑って、楓。 「ほら、俺に笑顔を見せてくれ」  僕のために、自分の立場も放り出して守ってくれた征生さん。  ヤクザなのに。  組のことより、僕を選んでくれた。 「う、うぅ、ふっ。うっ、うっ、んぅ、ふ」 「泣き笑い、か。初めて見るな」  楓の涙を止めるため、征生は優しいキスをした。  甘く、蕩けるようなキスを、何度も何度も繰り返した。

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