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第七章 デートの練習

 大翔は、何となく友人になった聖也と、何となく昼食を一緒に食べるようになっていた。  大翔が話すケンカの自慢などを、聖也はうなずきながら感心したように聞いている。  それが嬉しく、今日は取って置きの自慢話を披露していた。 「俺、年上と付き合ってるんだぜ」 「年上? 大学生?」 「ああ、大学3年生。今、21歳」  すごい、と聖也はまた感心して見せた。 「大人だね。本城くんカッコいいなぁ」 「大学2年の時からの、付き合いだぜ」 「デートとか、するの?」 「へっへへ。部屋デート♡」  えぇっ、と聖也は声を呑んだ。 「もしかして……、エッチとかもするの?」 「毎回してるぜ!」  聖也は頬を赤くして、両手で挟んだ。 「すごい……」 「俺の家庭教師なんだ。勉強終わったら、ご褒美エッチ」  家庭教師、と聖也はおうむ返しした。 「外でデートとか、しないの? カフェに行ったり、映画観たり」 「そう言えば……、したことないな」  勉強部屋だけが、大翔の世界だった。  そこだけが、楓との世界だった。

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