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第七章・4

「そう言えば聖也。お前、今日はイケてるな」 「あ、気づいてくれた?」  教室では冴えない聖也が、ヘアスタイルもファッションも、ずいぶん垢抜けている。 「本城くんとデート、だもんね。恥をかかせないように、ちゃんとドレスアップしてきたよ」 「そういうのも、デートには大切なのか?」 「大切。すっごく、大切」  大翔は、勉強部屋での自分の格好を思い返した。  部屋着のスウェット。  いつも、それだけ。  頭を抱える思いだった。  デート気分でお茶など征生に出させていたが、肝心の自分自身がイケてなかったとは! 「聖也」 「うん?」 「勉強になるぜ……」 「や、役に立てて嬉しいよ」  聖也は聖也で、大翔とのデートにどぎまぎしていた。

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