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第九章 俺の愛し方
「すっかり遅くなっちまったな、ごめん」
「いいよ、別に」
何回も、大翔は聖也相手にデートの練習をした。
セックスの特訓も怠らない。
ただ、ホテルから出る時は遅くなってしまうことが多かった。
(こうして並んで歩いてると、他の人にはどう見えるんだろう)
聖也は、時折そう思う。
(仲のいい恋人同士に見えてたら、嬉しいんだけど)
好きだよ、本城くん。
そんな言葉は、きっと卒業式の日に告白することになるのだろう。
そしてそれきり、報われない恋は終わるのだ。
少し涙がにじんだところを、聖也は突然腕を引かれた。
「な、何!?」
「隠れろ!」
「補導員の先生?」
「いや、楓先生と……、難波だ」
難波さんと言えば、本城くんのボディガードと聞いている。
彼が、勉強の終わった楓先生を車でマンションに送っているのだ。
「二人で、レストランに入ったね」
「ああ……」
大翔の胸に、きりきりと痛みが走り始めた。
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