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第十一章・2

「楓、大丈夫か?」 「ちょっと、飲み過ぎたかも……」  征生に肩を貸してもらいながら、楓はふらふらとマンションへ入った。  組長の喜びようは、ただごとではなかった。  大いに食べ、飲み、楓にも何度も酌をよこしてきた。 『先生には、本当に。本当に感謝しとります!』  そう言って、男泣きまでやってのけた。  ヤクザとはいえ、可愛い息子の晴れの日は嬉しいんだな。  そんな風に楓は思い、彼に付き合って飲んだ。 「水、飲むか」 「あ、ごめんなさい」  征生が寄こしてくれた水を飲みながら、楓は征生に問うた。 「僕、大翔くんの家庭教師はもう終わりなんですよね。この後のこと、彼のお父さんから何か聞いていませんか?」 「いや、以前言った通り組長は、楓の望むものをなんでも贈る、としか」 「そうですか……」

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