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第十二章・2

 合格したら、楓先生とデートしてもらう約束をしていた大翔。  聖也と二人で練習し、素敵なひとときを過ごすはずだった。 (それが、親父公認の仲になっちゃったら、先生のこと自由に連れまわせないじゃん!)  映画を観て、ランチして。水族館に行って、カフェでお喋りして。  最後に、エッチするはずだったのに!  それで楓先生から、卒業するつもりだったのに! 「難波のバカ! アホ! 間抜け!」 「申し訳ございません!」  ああ、あと一日早かったら!  嘆いてみても仕方がない。  だが、征生に『一日だけ楓先生を貸してくれ』とは、とても言えない。  どうしたものか。  やはり大翔の手は、自然とスマホに伸びていた。

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