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後夜祭で、Shall We Dance?①
「今年度のR高校王子様総選挙、一位は2年2組神宮寺 統君、二位は2年5組山田 太郎君に決定しました!
一位の神宮寺君には、こちらのマントと王冠を授与させて頂きます。
本来なら昨年度の王子様にプレゼンテーター役を担当して貰うんですが、神宮寺君は二年連続受賞のため、今回は二位の山田君にお願いしたいと思います」
後夜祭にて。
司会役の女子が発表し、俺はヤツの頭に王冠を授けた。
色々と、屈辱過ぎる展開である。
「ありがとう、山田。嬉しいよ」
ぎっとんぎっとんに甘い、海外土産の砂糖漬けのお菓子みたいな微笑。
それに内心また苛立ちながらも、俺も表面上は静かに微笑みを返した。
「さて、王子様。
王子様には副賞として今年も、後夜祭で一緒に踊る、パートナーを選ぶ権利が与えられます。
選ばれた方に、拒否権は一切ありません。
まぁ拒否する人なんて、まずいないと思いますけど。
今年はどなたを、選ばれます?」
特定の彼女がいない男なら、無難にその年のお姫様を選ぶのが例年の慣わしとなっている。
去年コイツも確か、他聞に漏れずお姫様に選ばれた女の子を選んだはずだ。
今年度のお姫様、二階堂さんと本当に付き合っているのであれば、迷わず彼女を選ぶ事だろう。
実際二階堂さんは瞳をキラキラ輝かせ、王子様が自分を選んでくれるその瞬間を心待ちにしている感じだし。
二位ってなんか、空しいな。
でも持って生まれたポテンシャルが、違い過ぎる。
......どう足掻いても結局俺はこの男には、一生勝てないかもしれない。
そんな気が、してきた。
役目を終え、そんな風に他所事を考えていると、突然女子達からギャーッという、悲鳴にも近い歓声があがった。
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