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捕獲......からのキス①
「山田、捕まえた!」
教室に逃げ込んだのとほぼ同じタイミングでぐっと腕を掴まれ、ドアは彼の手で閉じられた。
ガチャリという非情な音と共に鍵まで掛けられたため、俺は捕まっただけでなく、密室に閉じ込められた形となり、ますます動揺した。
「逃がすと、思った?」
仰々しい感じのオモチャの王冠を外し、俺の頭上に乗せる神宮寺。
「......意味が、わかんねぇんだけど。
ホントお前、何目的だよ?」
人の目を気にする必要が無くなったため、思い切り睨み付けてやった。
すると神宮寺はクスリと笑い、俺の体を強く抱き締めた。
「本当に、わかんねぇの?
俺は結構ちゃんと、意思表示してきたハズなんだけどな」
俺の首もとに、伸ばされた指先。
それは慣れた手付きでネクタイをほどき、スルリと卑猥に首筋に這わされた。
「は?意思表示って......あれか?
お前みたいな雑魚にライバル扱いされんのは、もう迷惑だって......そう言いたいのかよ?」
これまで散々付きまとい、勝手に挑み続けてきた。
それはいつも、コイツからしてみたらきっと何の意味もない勝負。
いくら必死になったところで、尻尾に集る蝿程度にしか思われていなかったに違いない。
でもさすがにそのしつこさに辟易し、こんな嫌がらせを受けたとしか思えなかった。
「もう俺からは、絡みに行かねぇから。
......それで、満足だろ?」
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