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捕獲......からのキス②
ちょっと泣きそうになりながらそれだけ言って、神宮寺の体をいつものように突き飛ばそうとしたのに。
......彼は俺を抱く腕に更に力を込めて、唇をキスで塞いだ。
「ふっ......くぅ......、んっ!!」
思い切り胸を両手で押しても、彼の体はびくともしない。
一瞬離れた唇はまた無理やり塞がれ、今度は舌まで入れられた。
そしてその舌は器用に俺の舌を絡め取り、執拗なまでに口内で好き勝手に暴れ続けた。
全身の力が、抜けていく。
これまで女の子達とは、甘く蕩けるようなキスしかしたことがなかった。
だからこんな風にメチャクチャに、貪られるような、食われちゃいそうなキスなんて、俺は知らなかった。
腰が砕け、その場に座り込みそうになった俺を彼は抱き抱えるみたいにして支え、フッと小さく笑った。
「てめぇ......何すんだよ!
お前二階堂さんと、付き合ってるんじゃねぇのかよ!?」
「付き合ってはないよ、何回かヤったけど」
コイツ......爽やかな王子様面しといて、なんつーゲスな発言を!
人の事を言えた身じゃないが、イケメンは何やっても許されるとか思うなよ?
苛立ち、彼を睨む俺の頬にそっと添えられた、大きな手のひら。
その指先は俺の口元に移動し、ふたりの唾液で塗れた唇を優しく拭った。
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