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捕獲......からのキス③

「山田があの子狙いだって噂で聞いたから、先に俺が頂いておきました。  ......あんな計算高い性悪女も、誰にでも尻尾振るような安い女の子達も、お前には相応しくないよ。  ホントはお前も、分かってるんだろ?」    彼はフン、と鼻で笑い、今度は俺の首筋に軽く唇を寄せた。  その甘美な刺激に、否応なしに体が小さく震える。  すべてを見透かすような彼の瞳に居心地の悪さを感じ、思わず目を閉じた。 「俺の方が山田の事、大事に出来るよ?  それに俺の方があの子達より絶対気持ち良くしてやれるし、俺の方が絶対にたくさん愛してやれる」  驚き、反射的にまた目を開けてしまった。  「イヤイヤイヤイヤ、ちょっと待て!  神宮寺......それだとお前が俺の事、好きみたいに聞こえるんだが」    するとその言葉にぴくりと反応し、彼の口元が、史上最強なくらい凶悪な形に弧を描いた。 「みたい、だと?  ......みたいじゃねぇわ、めっちゃ好きだわ。  この、鈍感が!」  耳たぶを思いっきり引っ張りながら、耳元で、大きな声で叫ばれた。  腰を支えていた腕を離され、ドサリと体が床に崩れ落ちた。  そしてその瞬間、俺の頭に被されていたオモチャの王冠が、カチャンとチープな音を立てて床に転がった。  でもぶつけたお尻(ケツ)の痛みよりも言われた言葉の衝撃の方が大きくて、これがジョークなのか本気なのかわからず、何も言えないまま、ただ彼の人形みたいに整った綺麗な顔面を凝視した。

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