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世界が壊れた日①
「本当にまだ、わかんないの?
お前があの子達に食われるのを、邪魔するために決まってるじゃん」
クスクスと笑いながら、耳元で囁かれた。
そこでようやく、気付いた。
......コイツがあんな風に女の子達を周りに侍らすようになったのは、俺が自暴自棄になり、可愛くてちょっと遊び慣れている感じの子なら誰彼構わず手を出し始めた時期と丸被りしていた事に。
「俺は山田の愛情を重いとか、ウザいとか絶対に思わないよ?
それに俺は山田の事を、捨てたりもしない。
......あの女みたいに 、ね」
その言葉に驚き、顔を神宮寺の方に向けた。
すると彼はようやく背後から抱き締めていた腕の力を緩め、俺を解放した。
すべてを見透かすようなコイツの琥珀色の瞳が、ずっと苦手だった。
だけど、なるほどな。
......本当に全部、知られていたという事か。
あの日の出来事を誰かに話した事も、あの女との関係を誰かに語った事もない。
だけどどういう事情かは分からないけれど、きっとコイツはあの時、あの場に居て。
......そして無様に泣いてすがり付く俺の姿を、目にしていたっていう事か。
「どこかで、覗き見してたワケ?
ストーカーかよ......マジで、キモいんだけど」
睨み付け、吐き捨てるように言ったのに、神宮寺は嬉しそうに笑い、俺の体を今度は正面から強く抱き締めた。
「......やっとちゃんと、俺の事見てくれた」
「は?お前、何言ってんの?
つーかあのド修羅場を見たなら、わかるだろ?
......俺はもう誰の事も、本気で好きになったりしない」
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