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世界が壊れた日③
煙草の煙を吐き出し、心底めんどくさそうに言われた言葉。
この日を境に彼女は、俺と外で逢ってくれなくなった。
それでも俺はこの人の事を、まだ信じていた。
ほんの少しも、疑おうともしなかった。
きっと俺の将来を考えて、そんな風に悪役を買って出てくれたんだろうって、本気で思っていた。
だから彼女を体育館裏に呼び出し、情けなく泣いてすがったのだ。
俺の為に、無理してそんな事を言わなくていいよって。
......旦那さんと別れてなんてもう言わないから、二番目でもいいから捨てないでって。
でも彼女は冷たく嗤い、呆れたような口調で言ったのだ。
『何よ、それ......重過ぎ。
ホント、ウザいんだけど』
確かにこの人の口から、その言葉は出たはずなのに。
......信じられなかった。
優しくて、綺麗で、俺の事を大好きだと笑顔で言ってくれた先生。
でも彼女は意地悪く口元を歪め、泣きじゃくる俺にトドメの言葉を告げた。
『アンタみたいな子供に私が、本気になるとでも思った?
......授業以外では、もう二度と私に話し掛けないで』
この日俺の信じてきた世界は粉々に砕け、壊れてしまった。
これまで本当に好きだと思える女の子としか付き合った事が無かったし、そうじゃないと駄目だと思い込んでいた。
だけど俺は、気付いてしまったんだ。
愛なんかなくても、気持ちのいいセックスは出来る。
......好きだの何だのっていう甘ったるくて馬鹿げた感情には、何の意味もない。
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