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「東吾 が怖すぎるのがイケナイよ。そうやっていつも野良ネコから逃げられる。キュートな子には優しくジェントルにならないと」
東吾と呼ばれたメガネは、片側の金髪ロン毛にそう言われて、図星だとばかりに鼻息を荒げた。
「ネ、ネコに嫌われるのは話が違うだろう。俺は、かわいいものはかわいいと、ちゃんとわきまえて愛でれるタイプのかわいいもの好きだ。乱暴はしない」
「そりゃ、我々は付き合いが長いからね。キミの素敵な部分をよく知ってはいるけども、こっちのミニマムちゃんは初対面なんだから」
うなだれる東吾を前に、金髪ロン毛はキラキラとした笑みを浮かべ、まずは紳士的に、ティータイムにして自己紹介し合おうよと提案した。
帰ります、とは口が裂けても言えない空気。
狭い部室の中心に丸テーブルが置かれ、その周りをパイプ椅子がぐるりと取り囲んでいる。
椅子は三脚。
うろたえていた俺は東吾に手を引かれるまま一番奥の席へ案内され、あろうことか、そのままそいつのお膝にちょこんと抱っこされた。
「え、あ、えっ!?」
「悪い。席が足りない。一番小さなキミを大きな俺が抱える。合理的だ。合理的な配慮だ。やましくない」
大きな手で腹の前をがっちりホールドされる。
左手には目つきの悪いオシャレ坊主。
右手には紅茶のカップを並べる金髪ロン毛。
逃げ場は塞がれた。
「まずは部長から自己紹介すべきじゃないの?」
俺は差し出された紅茶を受け取る。
目の前の皿にはかわいらしいアイシングクッキー。
金髪ロン毛にうながされ、一番に口を開いたのは、俺を掴んで離さない後ろの大男だった。
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