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第3話

(すぐる)の言葉に青桜(あお)は一瞬かたまり、ガタンッとダイニングの椅子から勢いよく立ち上がると椅子を倒すのも構わずその場から逃げようとした…が、すんでのところで優がその腕を掴んだ。 優は北欧の血が母方に混じってるいる為か先祖返りで見た目も髪色がプラチナブロンドで瞳はグリーンとブルーのグラデーション掛かった絵に描いたような貴公子像の見目をしていた。身長も日本人の男性の平均身長より高い178cmはあったが、青桜は自己申請こそ180cmだったが、その実公式には183cmあった。高校1年までは黒豆柴のように小さく可愛らしい黒目ガチの愛らしい少年は背が伸びないのが悩みのタネだったが、その彼もこの3年弱で驚くほどすくすく育ち、バランスよく筋肉のついた体はオス感漂う男の魅力が出ていた。 故に青桜が本気になれば優の腕など振り払う事は簡単にできる。 それでも青桜はそうはしない。 そしてそれは優にも分かっている事。 優はゆっくり青桜を抱きしめると耳元でいつもより少し低い睦言の際の声音で青桜に甘く囁く 「青桜、『kneel(ニール)(お座り)』」 優の腕の中で青桜の体が大きくビクンッと震えた。 優は心の中で細笑む。 「青桜、出来ないの?」 「だって、先…ぱ」 「ほら、違うだろ?  青桜は僕に『お仕置き』されたいの?」 カタカタと青桜の体が震えだす。 「青桜、僕はお前の体に傷を付けるような  愚かな所業はしたくない。  でも、Dom/Subの関係性は嫌いじゃない。  お前がこう言うプレイをしたいと言うなら  付き合ってあげるよ。  さぁ、青桜『come(おいで)』」 優が寝室に向かい、青桜を呼ぶ。 自分の家で、自分の寝室の筈なのに、青桜の足は動かなかった。 優が寝室から顔を出す。 「どうしたの、青桜?ああ、顔色が悪いね。  僕の言う事聞けたらいっぱい褒めてあげる  から、さぁおいで。それとも…本当に  『お仕置き』して欲しいのかな?」 青桜は今の状況を自分の脳のCPUをフル回転して考えていた。 優の奇行は今に始まったわけじゃない。 この一連の流れからしても自分のタブレットの書籍アプリを見た結果だと言うのもなんとか想像はついた…が、それを『ごっこ』として具現化しようとするほどの行動力がこの人に有ったとは… しかも、『ごっこ』にしてはハードル高すぎるだろ!?とパンクしそうになっていた。 「青桜、ひょっとしてDom役したかった?  僕はどっちでも良いよ」  固まる優に優はクスっと色香漂う笑みを  向ける。  その笑みに優の喉がゴクリと動いた。 この人が、この雰囲気を出した時に引いてくれた事はない。 だったら─── 「オレ…ゅ、優さんの…Subに、なりたい」 「『good boy』青桜!  さぁ、おいで 『come』」

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