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第9話
「ふぅ…っ」
青桜の瞳から大粒の涙が落ちる。
先程、咥えろと言われた優の指を離した罰を未だ受けて、その後も優の指をふやけるんじゃ無いかと思うくらい咥え続け、腰を振っていた青桜だったが、その体力もそろそろ限界らしい。
さっきは気持ち良くて振ってしまっていた腰も、今は無理矢理振らされている状態。
青桜はひたすら何も支えるものの無い空間に向かって腰を打ち付けるように前後し青桜の大事な所は力無くぷらんぷらんと揺れている。
滑稽すぎる痴態。
「あお…?」
青桜はちゅーちゅーとその挿し入れられた指を必死に吸い上げ続けるだけだった。
その必死な姿にもう一度声をかける。
「青桜…」
微かに反応をよこす。
優は空いた方の手で優の頭を撫でる。
「もう良いよ…良く頑張ったね。お仕置きやり
遂げたね。偉いよ、青桜『good boy』」
「ふぇ…っ」
その言葉に青桜の腰を止め、痺れきった腕を優に回そうとするのを悟り、優は青桜の体を優しく抱きしめてやる。
自分よりしっかりした体躯を持つのに子供の様に泣きじゃくる青桜に愛おしさが湧く。
「よしよし…本当にお前ってやつは…頑固
だよね。
『safe word』使うと思ったんだけどね」
「だ…だって、お、お仕置きだから…っ」
「偉いよ。ちゃんとお仕置き出来たね…
ん?どうしたの?」
優の腕の中で俯いて首を振る青桜に優が問いかける。
「お、オレ…お仕置き出来てないっ、出来な
かった…っ」
優は悟った。腕の中で泣くこの子は、辛くて泣いてたんじゃない。
自分の与えたcommandに上手く応える事の出来ない自分が悔しくて泣いていたことに…。
青桜は『大好きな優』に命じられた『command』に応える事も出来ず浅ましく腰を振るだけの自分の姿に情けなくなっていたのだ。
その意地らしさに優の心には愛おしさが込み上げる。
「『good boy』。『good boy』だ、青桜。
お仕置きは終わりだ。
僕はお前が可愛くて、愛おしくて仕方が
ない。良く頑張った。十分だよ。
ほら、もう泣くな。『ご褒美』をあげる。
何が良い?」
優しい優の瞳に見つめられぷるぷるぷるぷると
青桜の体が歓喜に震える。
その言葉だけで、青桜の半身は力を取り戻し、その先には透明な蜜を溜め、間も無く溢れんとしていた。
張り詰めてきたソコを解放して欲しい…と強請るだろうと思っていたその口からは優が思いもよらない言葉が紡がれた。
「許して…貰えるなら、ゆ、ゆう先輩のd…
dickを…舐めたい…」
普段聴き慣れないその単語。
だが、そこそこ大人の優には理解出来たスラング。
青桜の中ではまだ『ごっこ』は続いていたのだ。
「…分かったよ、青桜。腕の痺れはもう大丈夫
なのか?」
青桜がコクンと頷くのを確認すると優は青桜の躰を離すとゆっくり立ち上がり、ベッドの縁に座る。
『先輩』と呼んでしまった青桜を責めることをしなかったのは、青桜が心から願っている為素で話していると理解したから。
「青桜、『kneel』」
優の側に移動しようとした青桜の眉間に皺が寄る。
立ち上がろうとしたらしいが、どうやら腰に力が入らない様だ。
そのまま四つん這いで優の足元までなんとか辿り着くと、大きい体を優の股の間で縮こませる。
その可愛らしい『お座り』に優は満足していた。
優は自分を見上げてオニキスの瞳を潤ませてcommandを今か今かと待ちわびて唇を震わせる青桜に欲情する。
その表情がなんとも可愛らしくて優の男としての征服欲、庇護欲を擽っていた。
全ての男に対してそうは思わない。
あくまで青桜限定の欲求ではある…
優は元来他人に興味の持てない人種。本人にもその自覚は十分にあった。だからこそ目の前の唯一の最愛と思える青桜に体が反応してしまう。
ムクリと起き上がる優の半身に青桜も気付く。
更に物欲しそうに一点を見遣る青桜が本当にオヤツを前に『マテ』をするワンコのようで優は百が可愛くて仕方がなかった。
自分の股間を至近距離で喉を鳴らしながら肩で息をしている青桜を細笑んでしまう。
「青桜、涎垂らしそうだね」
青桜が不満げに優を上目遣いで見上げる。
さっき、口を聞いて酷い目に遭ったことを学習してか、青桜は一言も口を開かず、その鼻先をグリグリと優の股間に押し付けた。
「わっ…ふっ、青桜!こらっ『stay』!!」
これには流石に普段クールビューティな優も慌てた。
その姿に何食わぬ顔で『stay』した青桜の顔はひどく満足気だった。
『こいつ…』
正直、優は青桜のその表情にDom的加虐心が
芽生えていた。
そして本能のまま、どうして泣かしてやろうかと思考を巡らす。
勿論、先程のような心を枯らす辛いものではなく、気持ち良くて泣いて止めてと言わせてみたいと言うDomスイッチが完全に入った。
痛め付けようではない。先ほどのお仕置きにおいてD/Sの加減が掴めないでいた優だったが、今度こそ青桜の欲するものの何百倍も何千倍も快楽を与えたいと思った。
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