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第12話
「あーお、なんで『ココ』おっきしてるの?」
「くぅっ」
優の男にしてはスラッとした型の良い指が青桜の根元をグッと握っていた。
今、この時Subの青桜にとってこの『roll』のcommandは屈辱と言うよりも羞恥だった。
大きな体をしている自分が可愛らしい飼い犬が主人その腹を差し出すような服従の姿勢をとっている。
そして自分の主人は自分が晒している腹を青桜の大好きな美しい指の腹で柔らかく撫でる。
その指はむず痒く体を捻ってしまいそうになるのを『怒られたくない』と言う本能で精一杯押さえ込んでいた。
その指は次第に青桜の茂みを掠め徐々に侵略するかのように茂みを侵し、横たわる幹にも触れていた。
ビクンッ
と軀が揺れる。
「誰が動いて良いと言った?」
ピシャリと響くその声に青桜は凍りつく。
今までに一度として聞いたことのない優の冷たい声音。
そして、優の顔を見ると先ほどまでとは違った冷たさを纏う瞳に青桜は震えた。
怖いっ
…自分が犬なら間違いなく尻尾を巻いて腹を出していた事だろう。そのくらい青桜はビビっていた。
勿論いくらSubと言っても、あくまでごっこ。
長身で程よい筋肉を持つ青桜の軀はその見た目を裏切らないスペックを誇る。
高校時代に上級生を病院送りにしていたが、表に出ていない事件はいくつも存在していた。
青桜は元来温厚だ。人当たりもよく周りの信頼も厚い。
そんな青桜が狂犬と化すのは自分から優が離れてしまう事象が起こった場合か、対象物が優の害となると判断した時…
優がDom役でなければその場は血の惨状と化している事だが…本人が仮に犬であろうが人間だろうが二次性だどうのこうの言われようが現実世界において青桜が本当に服従しているのは優だけだった。
まぁ、本人達には自覚はないが…。
そう、2人の中ではお互いの側にお互いが存在するのは空気を吸うのと同じくらい至極当然の感覚でしかなかった。
それだけ現実世界でも青桜の服従心は半端無いものだった。故に、この世界に憧れるのかもしれない。
「優 せ…さん、さっきはごめんなさい。
美味しそうで我慢出来なかった。
怒らないで…ください」
優がプッと吹き出す。
演技で有ればNGもいいところ。
現場でNGなど出したことのない優も青桜にはとことん甘い。
「あーお、そんなに僕の『dick』は美味しそう?」
青桜は自分が使ったスラングを優が使った事に驚くも、その優の久方ぶりの心からの笑顔にホッと肩の力が抜け、最高に嬉しそうな笑顔を見せ、めい一杯頷いた。
『come』と呼ばれすぐに優の足元に行き、commandも言われてないのにkneelの姿勢を取る。そんな青桜の頭を優は目を細め愛おし気に撫でる。
「…青桜。
導入に時間が掛かってしまったけど
今から僕はお前のDomだ。
Domには服従。怖くても、恥ずかしくても
ゆっくりで構わないから必ず従うんだ。
僕を拒否する事は許さない。
本当に嫌なら『safe word』で僕を止めろ。
いいか?それ以外は僕は辞めない。」
青桜はしっかりと優の瞳を見つめ頷く。
「僕のdickを取り出して舐めて良いよ。
使うのはお口だけだ」
強制フェラの際の常套句!と青桜の心は踊る。
さっきまでは見た事のない優の雰囲気に押されて恐怖に近いものを感じた青桜だったが、優が自分の為にDomと言う役柄を模索してくれている事が理解り 嬉しくなっていた。
頬を仄かに染め、コクコク頷いてお預けを食らっていた優の股間に飛びつく。
その様子を優は苦笑しながら見ていた。
見ていたが…
ハァ、ハァ、
ハァ、ハァ、ハァッ
青桜の息が急激に上がる。
「あお?青桜っ!ちょっと待てっ。待てって
『stay』!!」
ビクッと青桜の躰が反応し、動きを止めるが…肩で荒く息をするその姿はまさに猛獣だった。
「『kneel』…だ、青桜っ!」
「はぁ、はぁ…んっ」
青桜は乗り上げていた優の躰の上から身を引き、『kneel 』をしてもなお、肩で荒い息を繰り返す。
青桜の瞳は欲情で染まっていた。
それは発情をグッと堪えているようにも見えたが、青桜の下躰を見る限り間違いは無かった。
青桜のそこは完全に意思を持って勃ち上がっていた。
「青桜、僕はオオカミにでも襲われている
気分だよ」
そう。スラックス等のパンツならボタンを外し、ジッパーを下げれば良かったのかも知れないが、この日優が履いていたのはスエットパンツだった。
ウエストがゴム製の為、いくら青桜が口や歯を使って下げても元に戻ってしまい、上手く行かない焦りと自分への怒りに泣きそうになった挙句、ベッドに乗り上げ、優の腰元からスエットと下着に鼻と顔を無理矢理突っ込もうとしたのだ。
「落ち着け、青桜。分かった。これは僕のミス
だ。ほら、出してあげるから…『look』」
ギリッと、青桜が歯を食いしばるのが分かる。
見ろと言われるまでも無く、青桜は優が己を引き出す姿から目が離せない。
青桜は先程から『お預け』を何度も喰らい、今すぐにでもむしゃぶりつきたいのに『見てろ』なんて酷過ぎる。…と、もう限界を迎えていた。
「青桜、お待たせ。
『good boy』舐めて良いよ。
でも咥えちゃダメだ。舐めるだけ。OK?」
もはや優に触れる事が出来るのならば何でも良いと青桜は思っていた。
だから飛び付きそうになるのをグッと堪えて顔を突き出すように何度も頷いて見せた。
優も己を噛み切られそうな青桜の勢いに最善の注意を払っていた。
「青桜…ゆっくり、ゆっくり『come』。
そう、良い子。じゃあ…舌を出して…うん、
そう。『good boy』。」
優は心底自分が猛獣使いにでもなった気分だった。
青桜は突き出すように舌を出す。
目の前には優のdick…
服を着ていたから風呂に入って無いのかとおもったけど、然程強い匂いは無かった。まぁ、元々優は男臭さとは無縁だったが…それどころか青桜にとってはむしゃぶりつきたいくらいのいい香りが立ち昇り、思わず口の端から唾液を滴り落としてしまった。
何もしていないのにも関わらず青桜の半身は腹に付きそうなくらいそそり勃っていた。
まだ、「舐めろ」のcommandを貰ってはいない。
舌を突き出し肩で息をする青桜は、己の下半身が疼くように痛いことより、目の前のご褒美にありつく事しか頭にはなかった。
いつも欲しくて欲しくて仕方がない優のソレ。
自分が青桜をグズグズにしたい優は中々青桜に咥えさせてはくれなかったのだ。
でも、青桜は愛する男のそれを普段から欲していた。……平常時では恥ずかしすぎて中々強請れないが。
それゆえ目の前の芯を持ち始めている優のそれは青桜にとってはご馳走以外の何物でもない。
「青桜、いい?ゆっくり舐めるだけだ。
まずは舌で味わうんだ…分かったな?
よし、『lick 』」
勢いよくむしゃぶりつきたくなる気持ちを青桜は何とかなけなしの理性でねじ伏せる。
理性と言うよりは主人である優にこれ以上不評を持たれなく無いと言うSub性的本能かもしれない。
ジリジリと股間に近寄る。
まずは大好きなその匂いをスンッと鼻を鳴らして堪能する。そこから舌を這わせようと舌を伸ばす。
緊張で舌先は渇いているのに口の端からいやらしく唾液は流れ落ちる。
這わせた舌先がヒリついた
同様に優も同じだったのだろう…優の腰が少し引いた。
それを見て青桜は悲しそうに優を見上げる。
優は苦笑して頷く。
出しっ放しの舌をしまい、口内に十分な唾液を溜めその唾液を舌にからめると再度下から舐め上げた。
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