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◆1 ep.2 甘々/開発中

「お前がヒトを娶るなんてなぁ・・・。もっと時間を掛けて選ばなくて良かったのか?」 「ちゃんと吟味した。」 「いや、子爵家の男体にしても、もっと唆られる見た目でもいいだろ。」 「確かにもうちょっと肉を付けて欲しいが。」 「そうじゃなくてなぁ・・・。子供だし、色気が足りないし・・・。」 出張帰りにエリだけ見たいと云って寄った、煌びやかなものが好きな悪友にエリが気に入られないのは判っていたが、好みはそれぞれなので仕方あるまい。 ジルなら生意気だと思うであろう言動も歳相応だと思うし、自分の立場や客に対する礼儀は弁えている。見た目は特別華美ではないが、清潔感もあるし、良い目をしていると思う。もう少し育てば印象は変わるだろう。 それに誰彼構わず興奮する性質ではない自分が抱きたい相手なのだから、それでいい。まぁ、そこまで胸の内を告げなければならない理由も無く、私が黙っているとジルは文句のように言葉を続けた。 「いくら具合が良くてもあんな子供だと扱いに困らないか?」 「あれで中身はしっかりしてる。」 「フン、盲目だな。・・・そうだ、エリは甘い物は好きか?」 「そこそこな。」 愛人や子供達への土産に寄った店のだろう、色とりどりの包装の菓子箱を机に並べ、ジルはさっさとソファーから立ち上がった。 「じゃあ二人に。改めて祝いに来る。」 ジルと顔を合わせ暫く談笑したのち、席を外していたエリも見送りには出てきて、きちんとまた挨拶をし、礼を云い、しゃんとしていた。やはり私より大きく、頭一つ半は違うジル相手でも物怖じしない。使用人達とも適切な距離を取りながら信頼関係を築いている。 しかし、ジルの車を見送り、客間に戻った途端、私との距離を詰めてきたが。 「今日のお仕事、終わりましたか?」 「ああ。」 ジルが来る前に片付けたかった書類は処理したし、久々にジルに会い、まとまっていなかった商談の話も出来た。返事をするとエリは背伸びして私の首元に手を伸ばし、ぎゅうと抱きついてくる。ヒトの愛情表現なのかは知らないが、エリはこれが好きだ。質感が良いです等と云い、暫く離れないので片腕でエリを抱えたまま、定位置の椅子に座る。 「ドラジェ、久しぶりに見ました。」 「あいつは色んな所を飛び回ってるからな。」 目新しい物や珍しい物に目が無いジルは自ら出向き、新たな仕入れルートを見付けてくる。商売を興す才や人を見る目があるのだ。エリの情報は殆ど話していなかったが好きな菓子だったようで、並べられた菓子を見て、ふわりと笑ったが、手を出したりはせず、ただ人の胸元に顔を埋めた。 「旦那様、気持ちいい・・・。」 行為中、旦那様呼びに反応していると知られてしまったので、エリは二人で居る時はその呼び方を止めようとしない。私も、夢見心地で目をつむり、私の毛皮を堪能しているエリの頭を撫でる。私もエリの丸い頭や吸い付くような肌質の手触りが気に入っているので、好きにさせてやりたい。 ただ、私の場合、やたらとくっ付かれるとどうしても性欲と結び付いてしまうのだが。 「エリ、もっと気持ち良い事をするか、」 「良いですよ。」 その言葉に少し笑いながら起き上がったエリの下着を剥いて、敏感な秘所に手を伸ばした。 「ん、っ・・あ、・・ん、」 エリが好きな匂いの潤滑油を馴染ませ、中にゆっくり指を含ませる。少しずつ拡げ、好きな場所ばかりを刺激してやると、鼻に掛かった声で啼き、身体を蠢かせる。 「ンッ、っ、あン・・・」 指で出来る限り、奥まで内側を撫でるようにして拡げて、中がひくついて欲しがっているのが自分でも判るまで感じさせる。体型同様小ぶりな男性器を勃ち上がらせて、自分でも腰を揺らして、目の縁を真っ赤に染めて喘ぐだけのエリに問い掛けた。 「自分で挿れるか?」 こく、と頷き、エリは私の上でゆっくり腰を落としていく。最近は薬を使わなくても形と快感を覚えて楽に挿入出来るようになった。自分で挿れられる所まで挿れさせて、最後に腰を掴み、ズンと奥まで挿れてやると、中が、きゅうと締まり、射精して喜ぶ。 あとは精液じゃないものも出るまで、エリの善い場所を中心になぞって突いて、碌に声が出なくなるまで犯してやる。 「あっ、っぁ・・、ん、ンッ、」 「エリ、締めなさい。」 初めの頃に比べ、柔らかく肉感的になってきた中に出されるのも好きなようで、挿入時同様、高確率で達してしまうのも堪らない。出したものを奥に馴染ませる動きや、その後も行為を続ける快楽に弱くて、ゆっくりするのも乱暴にされるのも感じて、身体を震わせながらよく喘ぐ。 「ね、そこ気持ちいい・・・、」 「うん、よく締まるな。」 「ん、あっ・・、あっ・・!」 服を脱がしがてら薄い胸も揉んでやると、ひく、と喉が鳴り、甘い声で応える。ヒトは性感帯が多い造りをしていて、抱くたびに発見があるので楽しい。身体が弛緩しては強張り、ねだる言葉を口にしてはかぶりを振る。 達した直後でも全ての快楽から逃げられないように、腰を掴んだまま中を抉り続けると、ぷしゃ、と潮を吹く。一旦抜き、椅子に掴まらせて膝立ちさせ、後ろからエリの善い所だけを苛めてやると、泣き声混じりの声を上げる。 「あっ、・・ふっン、んっ、あー・・!」 後は浅く引き抜き、奥まで一気に貫く動作を繰り返し、もう自分が好きなようにエリを犯す。じゅぷじゅぷはしたない音を立て、私を呑み込む場所は確かに具合が良い。身体が小さい割にいやらしく強請り、欲求全てに応えようとする。 こういう事をしていなくてもエリは受け入れる目で私を見、やたらとくっ付きたがったりするので、独占欲と庇護欲が掻き立てられ、私の方からも抱きしめたくなる。 「あ、んっ、ン、ふぁっ・・!」 「っ、上手だ。」 「ね、旦那様、中に欲しっ・・・!」 腰以外も密着させると、涙が浮かんでいるものの嬉しそうな表情が隙間から見え、中が射精へと導く動きをするので、そのまま奥に出してやる。 エリの身体が射精の余韻の震えから治まった所で抜くと、散々突き上げた所為で赤くなってしまった臀部の合間から粘り気のある精液がぽたりと落ちた。 「はっ・・ん・・・。」 弛緩しているエリを正面から抱きかかえ、溢れる精液を掬うようにしてもう一度奥まで押し込む。ぴく、とエリが反応し、少し掠れた声で啼く。 「本当に可愛らしいな、お前は。」 思ったままにそう口にすると、ぱち、と濡れた目を瞬かせ、それからぐりぐりと人の胸元に顔を埋める。そのまま顔を上げようとしないので、手を添え上げさせたエリの顔は赤く染まっていた。 「っ、旦那様、ずるい・・・。」 「何がだ?」 「性交してる時だけ褒めてくれるんですもん・・・。」 「・・・そうか。」 「そうですよ・・ン、あ・・・。」 性交以外も評価してるが、確かに言葉にした事は無かったかも知れない。なんせ私は自分の思っている事を伝えるのが苦手だ。それに関してエリは戸惑う様子を見せなかったし、今だって決して非難めいた口調では無い。 オメガとの生活に必要なのは安心出来る環境、性欲の解消くらいで、エリの好みに環境を整え、快感を得られる行為を提供してやればいいのかくらいに思っていた。たまには言葉で感じている事を伝達しなけれらならないのかも知れない。 「お前は慣れない環境でよくやってるし、これからも宜しく頼む。」 「っ、」 濡れた音を立てる奥をゆっくり突き上げながら、何とか伝わりそうな言葉を考え口にすると、更に顔を赤くし、こくこく頷いて、細い手足に、ぎゅうと抱きしめられる。 動き辛い体勢なので身体に触れてもあまり気持ち良くしてやれてない筈なのに、ぷしゃぷしゃと達しながら。 ジルの奴、何が色気が足りないだ。 こんな羞恥心と快感に塗れた表情を見せられたら此方も治まらない。 「んッ・・・、あっ・・あン・・っ、」 「どこまでもいやらしくなるな、お前は。」 「ん、っ、らって褒められるの、ダ、メっ、」 エリは肩で息をし、舌が回らなくなってきている。激しく動かなくても精液と愛液が混じって、くぽくぽ音がし、恥ずかしがるエリと目が合うだけで締まるので、このまま抱き潰したくなる。 「っ、・・ん、っ・・!」 でも快感で声が出なくなってきていて、刺激が強い所為か私の胸を両手で押し、目を伏せようとするエリにこれ以上求めるのは可哀相かとも思い、ただ抱きしめてみた。 それでもエリはビクビクと震え、感じていたが。 「・・・エリ、そろそろ抜くか。」 「嫌です。・・・抜かなきゃダメですか?」 「そういえばヒートが近いんだったな、」 「だから治まらないんですかね、気持ちいいの。」 その辺りは分からない感覚なので、私は曖昧に頷いた。まだこの子の発情期に付き合った事は無いが、ヒトの発情期に巻き込まれた事はある。 あれはこんなに穏やかなものでは無いし、中を慣らす為、連日の催淫薬の使用を嫌がったエリには厳しくて酷く泣かせる羽目になると思う。あれは此方のなけなしの理性まで飛ばす。お互い抑制剤が必須に違いない。 「ん、ふっ・・・ン・・・。」 中の音が立つのは恥ずかしいらしいので、出したものを掻き出してやったものの、まだぐちゃぐちゃな中に咥えさせたまま、たまに揺さぶっている所為でエリは度々軽く達している。 秘所が開きっぱなしになるのも気の毒なので、そろそろ抜いてやりたい所だが、とろけた瞳で私の上に寝そべったまま、雑談のように話を続けた。 「母体が気持ちが良いと受精確率が上がるそうですよ。」 「そんな事まで考えなくていい。」 低年齢での出産は母体の死亡率が跳ね上がるし、生まれるのは獣の男子だ。頭から爪の先まで自分と見た目が違う生き物の出産は、肉体的な変化に伴う苦労だけじゃなく、精神的な負担も計り知れない。 でも、幸せそうに笑うエリの良いようにしてやりたくなる。まだ孕ませる訳にはいかないが、取り敢えず発情期が来たら間違いなく首を噛んで自分の物にするに違いない。こんなにいやらしくて自分を求める雌を他の雄になんて抱かせる訳が無い。 「暫くは二人で過ごすのも良いですか?」 「そうだな。お前は一緒に居ると甘えたがりだからまだ早い。」 「っ、ふふ、」 屈託ない表情で笑いながらエリは、ぎゅうと抱きついてくるので、私も腕を回して抱き寄せる。すり寄ってくるエリからは、ふわりと、発情期の前触れのような、甘い香りがした。

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