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高校1年生 (1)

18年前―― 放課後の教室で桜の舞う橙を眺める1人の青年。ふわりカーテンが翻り、頬をついている手を髪に運ぶ。すっと指の間をすり抜ける栗色が夕陽で黄金に輝いた。流す視線が向かないか、願うも淡い希望は今日もまた雲の中に溶け…… 「……なに、また見てるの?」 「あぁ、気付かれてたか」 「何考えてるか知らないけど、そんだけ熱烈に見つめられたら誰でも気づくよ」 「ははっ!そんなに熱烈だったか?ま、帰ろうぜ!」 青花とは中学校からの同級生である。中学2年生の後半、同級生に虐められているところに遭遇し助けたのがきっかけで一緒にいるようになった。 始めは背が低く華奢で可愛らしい顔をしていたため学ランを着ていたにも関わらず女の子かと思っていた。 ありがとう、と言われた声が男子にしては高く、涙を浮かべていたからだろうか、どうしようもない庇護欲に駆られた。その頃から既に俺は、可愛らしいそいつから目が離せなくなっていた。 俺の両親は共働きで2人とも帰りが遅く、いつも夕飯は1人だった。それを話すと青花は「うちにおいでよ」と声をかけてくれて、青花の親御さんも快く招待してくれたため、喜んでお邪魔したが、明日は何がいい?と次の日もまた次の日も青花の家へ行き、何となくそれがずっと続き今では毎日学校から青花の家へ向かい、夕飯をご馳走になって家に帰るというのが習慣になった。それは高校生になった今でも変わらず続いている。 高校1年生の夏休み、遊ぶ予定を立てた中で青花から「お互いの家に泊まらないか?」という提案があった。確かに学生の身であり小遣いは限界があるため外ばかり遊びにも行けない。いつも支度を手伝って夕飯をご馳走になって、片付けが終わったら帰る流れであったため泊まったことは1度もないし、青花を家に招待したことはそれこそ1度もない。 さほどお金もかからず旅行気分を味わえるなんて最高じゃないか。俺は賛成し、初めに青花の家、次に俺の家と日程だけ決め、お互いの親に了承を貰うためこの話は1度持ち帰ることにした。 その夜青花から電話があり、許可を貰えたそうだ。俺からも親に話した結果を伝えると青花は「やったー!」と大声を上げた。お互い楽しみで、その日はどちらかが寝落ちするギリギリまで喋り続けた。

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