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高校1年生 (5)
シャワー後は夕飯だったのだが、なにせ青花が目を合わせてくれないので、相当気まずかったのだろう。かくいう俺も気まずかった。
菫さんが気にしていたため、できるだけ普通にしようと努力したつもりだ。
夕飯の片付けも終わると、青花はそそくさと自室に戻ってしまった。俺も後を追いかけて部屋に行くと、青花は中でこちらを向いて立っていた。
「……青花?」
「早く入ってドア閉めて」
「はい」
座って、と言われ俺はその場で何となく正座をしたが、こっち、と部屋の右側にあるベッドを指されたためベッドに移動して腰掛けた。すると青花も俺の右隣――ベッドの頭側――に腰掛けた。
しばらく沈黙が続いたが、きっと青花は何かを話したいのだと踏み、待つことにした。
「……颯太はさ、男女間以外の恋愛って、どう思う?」
静かに話し出した青花の声は酷く震えていた。
「んー。俺は別に男女じゃなくても、男同士だろうが女同士だろうが好きになったのがたまたま同じ性別だったってだけだろ?……もしかして青花、人形にしか欲情しないって言ってたこと、あれ気にしてんのか?俺としては青花の性癖がどうであれちゃんと友達…だとは思ってるし、気にすんな」
「颯太……。颯太は男が好きなの?」
「……は!?」
予想していなかった質問に思わず大声を出してしまい、菫さんの心配する声が聞こえた。一言謝り問題がないことを伝えた。
「な、なんでそう思った…?」
「だっ……てさっき……お風呂……」
「あー。さっきは本当にごめん。やりすぎた。青花が人形にしか欲情しないって言ってたのが気になって……。つい、俺の手で欲情させてみたいなぁとか、思っちゃって……」
「はぁ?そんな理由?」
「そ。そんな理由。だから、男が好きという訳ではない。けどまあ、今日分かったことだけど青花の……男の体相手でも別に萎えはしなかったし、むしろ青花の見てたら俺も……。じゃなくて!!……あ、いや、隠してもしょうがないか。俺は男が好きなわけじゃないが、青花に対しては欲情する」
反応がないので恐る恐る顔を覗き込むと、青花は俯いたまま顔を真っ赤にしていた。風呂でも思ったが、青花は男子高校生にしては顔が可愛い。まつ毛が長く、身長はそれなりにあるが服装を変えたら女の子に見えなくもない。それと反応も……。
青花の顔が見づらいのが気になり、俺は青花の頬に手を伸ばし、顔にかかった髪を耳にかける。耳に指が触れた時青花の肩は小さく震えた。
「青花って耳弱い……?」
ふーっと息を弱く吹きかけると、「あぁっ……」という声と同時に逃げるようにして体をくねらせ、目に涙を浮かべた。
……予想以上。これはまずい。
「え?うわっ!びっくりした……何だよ颯……太……うぁあ」
俺は青花をそのまま押し倒し、耳にキスを落とす。耳の縁に舌を這わせると声混じりの吐息が聞こえる。もしこのまま下りて行ったら――
「そうた……颯太、やめ、て……颯太っ!」
下から体を押されて引き剥がされた。
「颯太……今日……変だよ。……こういうの誰にでもやってるの?」
「そんなわけないだろ俺は青花だから……」
「もうこれ以上勘違いさせるようなことしないでよ!!」
「勘違い?どういうこと?」
「う、嘘なんだよ全部。人形にしか欲情しないなんて嘘ばっかり。俺は……俺は、男の体に欲情する。女の子には恋愛感情を抱いたことは無いし、みんなが話してても、やっぱりそういう気にもなれない。……颯太は俺が中学の時いじめられてた理由、知らないんだよね?」
「……ああ、知らない。」
青花は上体を起こし、先程のように腰掛けた。俺は体を向けたまま聞くことにした。
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