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高校1年生 (8)

翌日12時、青花は恐る恐るインターホンを押した。チャイムの音が鳴り始めるのとほぼ同時、「はい!」と返答が返ってくる。 「あの、橘……です遅くなってごめ――」 「待ってろ今開ける」 青花が言い終わる前にインターホンは切られてしまい、大きな物音が近付いてきて勢いよくドアが開いた。 「っ!颯太……その、ごめんね」 「……とりあえず入って」 「え?わわっ」 颯太は立っていた青花の腕を掴み、家の中に引っ張り入れた。 ドアが閉まるより先か同時か、颯太は青花を抱きしめた。その腕は震えていて、脈拍もだいぶ早い。 「そ……颯太?」 青花が背中に手を回すかどうしようか悩んでいたところで颯太が口を開いた。 「………………心配した」 胸の奥から何かがぶわっと込み上げ、悩んでいたのが嘘のように、気付けば颯太の背に手を回していた。 「事故とか心配して……無事で良かった……本当に……良かった」 「ごめんね、すぐに連絡できなくて。次からはちゃんと連絡するから」 「そうしてくれ……頼む」 「……うん」 青花が少し身を引くと颯太は離れたくないとでも言いたげに、肩口に額を擦り付けた。 「ふふっ。颯太、そんなに心配してくれたんだね。ありがとう。……ね、俺だって会いたかったんだよ。顔見せてよ」 「……いやだ」 「もう。じゃあせめて上がらせてもらっても……いいかな?俺早く来たくて途中走ってさ、ちょっと疲れちゃって。休みたいなー」 ゆっくりと颯太が青花との隙間を広げていった。それでも顔は俯いたまま。 青花が両手で颯太の頬を掴み顔を上げさせると、目の下には大きなクマがあり、瞼が持ち上がっていなかった。 「うわっ、すごいクマだよ」 「……誰のせいだと」 「あはは、俺のせいだね。ごめん」 「もう大丈夫。けど安心したらちょっと眠くなってきたな。せっかく青花来たのに……」 「ちょっと寝なよ。そのままじゃ辛いでしょ」 こっち、と颯太は青花の手を引きリビングのソファに向かった。 握られた部分からどんどん冷たさが広がっていく。眠いはずなのに手がものすごく冷たい。きっと夜寝れない間も冷えきったままだったのだろう。 颯太の家に行く予定だった日、青花は病院にいた。

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