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高校1年生 (18)
「初めまして。青花の母の菫です。いつも青花がお世話になっています」
「こちらこそですよ。初めまして、颯太の母の玲子です」
唐突な母の提案で始まったランチ会は、近くにあったお手頃価格のイタリアンレストランに行くことになった。
テーブル席で母同士が向かい合い、それぞれの母の隣の席に座った。
「青花、水取りに行くから手伝ってくれる?」
「もちろん」
俺は青花を連れて席を立った。母達が話をしやすいように?そんなわけない。俺が青花と2人になりたかったからだ。とは言ってもここは他のお客さんも居るしイチャイチャできるわけではないが。
「青花氷いる?どのくらい?」
「んー、少しでいいかな」
「OK」
氷を入れたコップを青花に手渡し、水を注いでもらう。氷を入れ終わり、コップを持っていた手が少し冷えたことに気付き、そーっと手を近づけ、青花の手首を握った。
「冷たっ!水こぼれるじゃんか!」
「あっためてよ」
「はぁ?」
青花がコップを置く瞬間を見計らい、手から離れた瞬間に手首から手先へ握る位置を切り替えた。
「ちょっと!」
「大丈夫見えないよ」
俺は体ごと青花に近づけ、台と自分達の体の間に手を入れ周りから隠すことに成功した。
「残りの水入れる間だけでいいから」
「もー……」
コップは残り2つ分。たったそれだけの時間だったが、少しでも青花に触れていたいと思ってしまう。
――こんなことは今まで無かったな
「ほら、終わったから戻るよ。……続きは家に戻ってからね」
手を離す時最後まで指を引っ掛けて、青花がニヤッと笑う。
慌てて追いかけて席に着くとちょうど料理が届いた時だった。
食事が済みある程度話もキリが良くなったところで、母さんが唐突に菫さんを飲みに誘った。
「というわけだから、あんたら帰るなり遊びに行くなりしていいわよ。私菫ちゃんと2人でお話したいから」
「はいはいどうぞごゆっくり」
「そうだ青花くん!なんならもう一泊してってもいいわよ!」
「え!?えーっと……」
青花が困ったように菫さんの方へ視線をやると、菫さんは黙ってOKサインを出していた。
「あ、じゃあ、もう一泊していきます」
「OK!帰る時には連絡するわね!」
そう言って菫さんを連れて立ち去ったため、俺たちも家へ戻ることにした。
この日の夜も……とはいかず、青花の腰のことを考えてキスと添い寝で我慢した。
翌朝起きた時には母さんは仕事に出かけたあとで、ゆっくり過ごしたあと夕方頃に青花は家へ帰って行った。
それからは会うことはなく夏休み最終日、青花からメッセージが届いた。
『明日学校で会えるの楽しみ!』
そうだな、と返し俺は瞼を閉じた。
翌日、青花は学校に来ず、送ったメッセージは既読マークすらも付かなかった。
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